オーストラリア穀物 干ばつで”凶作”に近い連年の大幅減収に ABARE最新予測

農業情報研究所(WAPIC)

07.9.18

  オーストラリア農業・資源経済局(ABARE)が9月18日、2007/08年の冬穀物生産予測を発表した。

 australian crop report,07.9.18
  http://www.abareconomics.com/publications_html/cr/cr_07/cr07_sept.pdf

 干ばつによる大凶作だった昨年よりも2,100万トン増えて3,700万トンに達するとした6月の予測は大幅に下方修正された。8月には大部分の地域が異常な少雨と日中の高温に見舞われ、決定的生育段階に入った9月にも、今までのところ少雨が続いているからだ。

 穀物生産は、6月予測をほぼ1,100万トンも下回る2,560万トンにとどまる見通しだ。それでも昨年よりは多いが、過去5年平均を27%も下回る。主要冬穀物の小麦の生産は、昨年よりも980万トン増えて1,550万トン(12日の米農務省予測では2.100万トン)になるが、6月予測を700万トン、過去5年平均を610万トン(28%)下回る。大麦も昨年を大きく上回る590万トンと予測されるが、過去5年平均を26%下回る。カノーラ(菜種)は昨年の倍の増収となるが、それでも過去5年平均を24%下回る。

 昨年同期のABAREの小麦は半作以下という凶作予測は、現在も続く穀物・食料品価格の世界的騰勢の引き金となった。今回の発表については、市場は既に織り込み済みだ(オーストラリアと中国の干ばつ減収予想 小麦・大豆の国際価格が一段と上昇,07.9.11)。とはいえ、食料供給の重要部分をこの干ばつ常襲国に依存することへの疑念が改めて湧き上がる。

  わが国は小麦(主としてうどん用)・大麦(飼料用)を大きくオーストラリアに依存してきたが、既に高騰しているこれらの価格の一層の高騰・高価格の定着は避けられないだろう。日本はオーストラリアの乳製品(チーズ)や牛肉も大量に輸入しており、オーストラリア国内の飼料価格高騰でこれらの輸入価格もますます上がることになる。これは、もはやわが国の食料安全保障の問題だろう。

 ちなみに、ABAREが示すこれらのオーストラリア国内・輸出価格の推移は次のとおりだ。