中国 備蓄食用油の市場放出へ 国慶節に向かっての物価高騰を恐れる

農業情報研究所(WAPIC)

07.9.27

  チャイナ・デーリー紙によると、中国当局が20万トンの備蓄食用油の競売を発表した。穀物、豚肉、食用油の価格高騰に牽引されたインフレーションが国慶節(10月1日)をはさむ1週間の休日期間の昂進するのを抑制するためという。

 11の省に備蓄されている17万8000トンの大豆油と2万2000トンの菜種油が、安徽、天津、広東で同時に競売に出され、オンライン取引ができる。ただし、一社が5000トン以上を買い入れることはできない。

 Edible oil auction to help ease holiday price hikes,China Daily,9.27
 http://www.chinadaily.com.cn/china/2007-09/27/content_6137255.htm

 北京のアナリストは、競売でインフーションは和らぐと見る。しかし、これは一時的な話だ。専門家は、年一人当たり18kgの消費を考えると、低い利幅と世界市場との競争のために退潮が固定化した大豆と菜種の生産の寒々とした状況を改善するための長期的刺激策が必要だと言う。

 国務院は今週月曜日、補助金提供で油料種子生産を回復させ、食用油輸出統制を強化する状況改善のためのガイドラインを発表した。補助金を受け取る大豆生産面積は70万fから267万fに増え、菜種農家はヘクタール当たり150元(19米ドル)の補助金を受け取ることができる。これにより、油料種子生産面積は2010年末までに6%増え、生産量は14%増えるという。

 しかし、先のアナリストは、小麦生産の利益の方が大きく、農民は菜種へ転換をためらうかもしれないと言う。面積縮小と悪天候のために、今年の菜種生産は昨年より5%少ない1200万トン、大豆生産はこの10年来最低の1440万トンに落ち込むと見込まれている。国務院は先週、油脂生産奨励のために大豆輸入税を3%から1%に引き下げる予定と発表した。  

 なお、商務部の昨日の発表によると、供給不足と生産コスト上昇で過去8ヵ月にほぼ倍に値上がりした豚肉の先週の卸売り価格は前週に比べて0.8%低下した。7週連続の値下がりだ。しかし、商務部は、国慶節の間の需要の増加で、この値下がり傾向もストップするだろうと見ている。卵、果物、野菜は、前週よ りもそれぞれ0.1%、2.9%、0.5%値上がりした。

 供給不足を主因とする食料品価格の上昇は、当分止まることはなさそうだ。政府は、この価格上昇による生活費の上昇を相殺するために、最低生活費手当で暮らす都市住民に月々15元(2米ドル)の補助金を提供してきたが、さらに10元を追加するという。食料品価格の安定は、中国政府の喫緊の課題となってきた。

 Pork prices drop for 7th consecutive week, egg prices slightly up,xinhua.net,9.26
 http://news.xinhuanet.com/english/2007-09/26/content_6797862.htm

 関連情報
 中国政府 大豆等増産に本腰 面積拡大・単収増加・改良品種普及促進措置,07.9.24