中国重慶市のカルフール 価格高騰の食用油特売に人々が殺到 死者3人の惨事

農業情報研究所(WAPIC)

07.11.12

  中国重慶市で先週土曜日朝、カルフールの進出10周年記念セールの食用油特売に群集が殺到、3人が死亡し、31人が怪我をするという惨事が起きた。

 この日、カルフールは、通常は51.4元(6.9米ドル)の食用菜種油5リットル瓶を11.5元(1.5米ドル)で値引き販売した。人々は朝4時から店の入り口に集まり、油の争奪のために8時40分の開店と同時に売り場に殺到したという。

 店は閉店を命じられ、労働安全当局の調査が始まった。カルフールは犠牲者への補償金準備も命じられたという。

 Three dead, 31 injured in stampede in Carrefour outlet's sales promotion,xinhua.net,11.10

  フィナンシャル・タイムズ紙は、この事故は、1949年の共産党の勝利や1989年の天安門事件など、過去において”国の激変”の前兆となってきた激しいインフレを反映するものだと言う。

 植物油の卸売り価格は去年に比べて40%上昇、10月には価格上昇が加速した。北京のスーパーでの値段は週3%の上昇という。牛乳、豚肉、卵など他の食料品価格も高騰、過去10年で最高の年率6%のインフレの大きな要因になっている。さらに、各地で燃料不足が報告され、政府は燃料統制価格の引き上げも余儀なくされている。不足は、政府固定小売価格と高騰する原油価格の差が引き起こす損失を避けるために、精製業者が生産をストップさせている結果という。

 Stampede at Chinese supermarket kills three,FT.com,11.11.

 食用油メーカーの値上げ取締りは強化したが、こんな措置でインフレは抑制できるのだろうか。”国の激変”を言うには未だ早すぎるが。

 関連情報
 
中国政府 食用油メーカーの値上げに縛り 国の全体的利益に留意せよ,07.11.6
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