豪州の08年米生産 水不足でたったの1.5万トン 米輸出大国が輸入国へ

農業情報研究所(WAPIC)

07.11.19

  オーストラリアの2008年産米生産量が、1928年以降最低の1万5000トン、平年の100分の1以下にまで落ち込む。栽培農家数はわずか30戸前後となる。

 オーストラリア農業資源経済局(ABARE)は9月、やはり90年来最低の5万トンと予測していたが、同国の米の販売・輸出を独占するサンライス社によると、米農家に対する灌漑用水割当はゼロ、稲作を行えるのは例外的に地下水を利用できる農家に限られ、1万5000トンを超えることはないだろうという。今日付けの日本農業新聞(山田優 編集委員)がシドニーから伝えている。

 豪州 消える米輸出大国 08年産1.5万トン 干ばつ4年連続 日本農業新聞 07年11月19日 1面
 また、Job cuts hit rice industry,ABC Rural News,11.9も参照のこと。

 山田氏は、4年連続の干ばつでオーストラリアが米の輸入国に転じるのは確実、「世界最高水準の単位収量を誇る米輸出大国の一つが、国際市場から消えることになる」と言う。ただ、業界内には、雨さえ降れば稲作はできると強気の見方をする関係者が多い。80万トン程度の稲作は可能とする見方があるという。

 オーストラリア政府は、干ばつで離農する農家に最高15万豪ドルの”退職金”を支払うと決めた(オーストラリア 干ばつ離農支援を倍増 干ばつに耐えられぬ家族農場切捨て?,07.9.26)。しかし、稲作農家も未だ稲作を完全に諦める気にはなれないのかもしれない。多くの農家は退職金受け取りをためらっているようだ。

 ピーター・マクゴーラン農相によると、300人ほどが情報を求めてきたが、今月5日時点で受け取りを申請したのは14人にとどまる。農相は、これは理解できる、「土地を棄てるいかなる決定も生活を変える決定になる。長期の干ばつと戦ってきた多くの農家は、正常な条件に戻るまで決定を延ばすだろう」と言う。

 Farmers reluctant to take cash and quit the land,smh.com,11.5