カンボジア アジア・中東諸国と土地協定交渉 農業投資期待で無償貸与?
08.11.21
フィナンシャル・タイムズ紙によると、カンボジアがいくつかのアジア・中東諸国と、広大な面積の土地の貸与と引き換えに30億ドル(2,800億円)の農業投資を受け入れる交渉を進めている。 Suos Yara経済協力担当次官が明らかにしたところでは、いくつかの協定は今後何ヵ月かの間に仕上がるだろう。クウェートとカタールが一層の農地の確保に”非常に強い関心”を示しており、韓国や今年大変な米不足を経験したフィリピンも潜在投資国になる。
彼は、「食料価格は最近下がったが、長期的には食料供給問題があるから、実際はほとんど変わっていない」、「金融危機の今、我々は、この機会を捉え、わが国農業を開発し、[外国]投資を建設から農業に切り替える必要がある」と語る。
Cambodia holds land deal talks,FT.com,11.20
http://www.ft.com/cms/s/0/2506f3c6-b72e-11dd-8e01-0000779fd18c.html
or
Cambodia holds land deal talks,Financial Times,08.11.21,p.6
あり得る協定の諸条件について詳細は明らかにされなかったが、リース契約は70-90年の半永久的長期契約になる。投資者がどれだけのリース料を払うかについても語らないが、30億ドルは賃料というよりインフラ投資になるだろうという。カンボジア政府は、カンボジアには農業のために利用可能な土地が600万fあると計算している。現在耕作されているのは250万fだ。
投資者は、韓国大字がマダガスカルでただで借りるとされる130万fに勝るとも劣らぬ広大な土地を、やはり無償で、事実上譲与されることになりそうだ(⇒韓国大字のマダガスカル農地投資 ”明らかにネオ・コロニアルに見える”―FT紙)。カンボジアが見返りに期待するのは、インフラや技術の更新だ。
カンボジアは昨年、250万トンの米を生産し、130万トンを輸出した。次官は、「技術改良と灌漑で、一部地域の米生産は倍増も可能だ」という。他方、過去10年、年9%の成長をしてきた国の経済は突如減速、韓国の不動産開発業者やその他の外国投資家は不動産プロジェクトの棚上げを始めた。07年、30億ドルの外国直接投資を受け入れたが、その45%が不動産プロジェクトで、農業投資は25%だった。土地協定は、農業投資の比重を半分にまで高めながら、このような外国投資のレベルの維持を助けるものという。
カンボジア政府は、食料生産を求める外国投資家だけでなく、インドネシアを含む外国のバイオ燃料生産者とも、ヤトロファなどの燃料作物用の土地の譲与をめぐる交渉をしているという。
政府は、持続可能な農業の開発と農村開発を目指す「カンボジア農業研究開発センター」などの声(カンボジアNGOが世界フードレスデー 米生産力増強の必要性を強調,08.10.22)にはまったく耳を貸さないようだ。たとえ米生産が倍増したとしても、農村住民の貧困軽減や国の食料安全保障には何の役にも立たない。環境と農業の持続可能性も危機にさらされる恐れがある。食料とバイオ燃料が”新植民地”時代を生み出しつつある。