フィリピン 大量60万トンの輸入米公開入札へ 世界市場米価再上昇は不可避?

農業情報研究所(WAPIC)

09.11.10

 来年輸入する米の競争入札を例年より早い先月に実施(フィリピン 台風で2010年輸入米の早期確保へ 来年は国際米価急騰が再来?)、 先週金曜日(6日)にベトナム食品企業及び大宇インタナショナルと25万トンの輸入米供給契約を結んだばかりのフィリピン食糧庁(NFA)11月9日(月曜日)、12月1日に第2回競争入札を実施すると発表した。

 第2回入札では、NFA史上最大となる60万トンの供給を募る。この量は、例年の年間輸入量の3分の1、世界最大の米輸出国であるタイとベトナムの予想輸出量の4%にも相当する。

 米の貿易量は利用量に比べてもともとすくなく、貿易量の僅かな変化も国際米価格に大きく影響する。予想されるインドの輸入超過(インド 米の輸入関税撤廃 干ばつ・洪水で減産 米価高騰を恐れる)とあわせ、国際米価格の再上昇は避けられそうもない情勢となってきた。

  RP to hold open bidding for 600,000 MT of rice next month,Business World,11.10
 http://beta.bworldonline.com/main/content.php?id=1183
 Record tender likely to drive up rice price,FT.com,11.10
  http://www.ft.com/cms/s/0/47caa300-cd0b-11de-a748-00144feabdc0.html
  Record tender likely to drive up rice price,Financial Times,11.10,p.4

  この60万トン入札は、その後の政府間取引の準備という。NFAは、現在の為替レートでトン当たり537.17ドルの価格で購入する資金(152億6400万ペソ)を用意した。調達先はベトナム、タイ、中国、パキスタン、オーストラリア、米国、インドになるだろう。入札結果は、政府購入準備の”ベンチマーク”(標準価格)として役立つ。

 農業当局者は、「大量だから、世界市場価格は確実に上がるだろう」と言う。大宇のマネージャーは、「フィリピン政府がこの時期に買うのは適切と思う。来年初めでは価格は上がっているだろう」と言う。タイ貿易業者もこれに同意する。貿易業者は10月、来年はインドが21年ぶりに米の純輸入に転じ、300万トンを輸入するだろうと推測した。

 先週、世界市場価格のベンチマークとなるバンコク輸出価格にも上昇の兆しが現れた(→国際米価格の最近の推移:週別)。