農業情報研究所

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フランス:有機農業経営の現状

農業情報研究所(WAPIC)

01.11.5

  "Agreste Primeur"誌No.101(2001.9.17)が2000年農業センサスに基づくフランスの生物学的農業(有機農業)経営の現状を分析している。ここにその概要を紹介する。

 経営数は7000、全経営の1%にすぎないが、急速に増加

 有機農業経営は約7000、全経営の約1%を占める。ただし、調査時点で有機農業に転換中の経営が約1700あり、近い将来、これが加わる。それでも圧倒的少数派にすぎないが、1995年には2000を数えたすぎなかったから、ここ数年の間に急速に発展していることになる。

 全作目で発展、しかし比重にバラツキ

 有機農業は耕種農業で最も発展しているが、畜産でも発展しつつある。

 耕種作物では穀物・油料作物・蛋白作物(大規模耕種作物)が最も多く、2300(転換中を加えると3200)を数え、次いで野菜が1400(同1600)、果樹(リンゴ、クルミ、プラム)が900(同900)となっている。畜産でも、養牛1900(同2500)、乳牛(乳製品製造も含む)1300、羊・山羊800(同1000)と発展がみられる。

 しかし、有機農業経営の比重は、集約的農業の独壇場である大規模耕種作物、養豚では非常に低く、0.5%、0.2%を占めるにすぎない。果樹経営では、2%と最も比重が高い。

 小規模経営は少なく、経営者の農業教育程度は高い

 有機農業経営の平均面積は47haで、通常農業の42haを上回る。巨大農場の比重は通常農業より小さいが、逆に極端な小経営の比重は通常農業の方が高い。有機農業経営者の9割は農業を主業とするが、通常農業ではこの比重は4分の3である。

 有機農業経営者の農業教育程度は、通常農業の経営者よりも相当に高い。

 有機農業経営の多くが加工も行っているが、ツーリズム兼営は少ない

 有機農業経営の29%が生産物の加工を行っている。通常経営では、この比率は9%にすぎない。ただし、宿泊(民宿)、食堂等の農村ツーリズムを行うものは、通常経営より多いとはいえ、未だ非常にすくない(それぞれ7%、2%)。

 地理的には南部、西部が大多数

 有機農業経営はフランス全土に広がってはいるが、パリ盆地や北部の集約農業地域では非常に少ない。また山岳地域でも多くはない。大多数は南部と西部(ブルターニュ)に集中している。

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