農業情報研究所

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フランス:地方経営契約、最初の分析

農業情報研究所(WAPIC)

01.11.3

  11月2日、フランス農水省と全国農業経営構造整備センター(CNASEA)が、地方経営契約(CTE)についての最初の分析結果を発表した。要点のみ紹介しておく。

 CTEは、グローバル化の進展がもたらす競争圧力増大のなか、市民と消費者の要求に一層よく応えることでフランス農業の生き残りを図ろうと、1999年農業基本法により導入されたもので、農業者が、国の特別な報酬支払いと引き換えに、環境保全、雇用創出、生産物の高付加価値化などに取り組むことを約束、実行する制度である

 報告によると、基本法成立後2年余りを経て、100万f以上の農用地につき、フランスの農業経営数の5%にあたる1万9000の契約が成立した。これは、目標の10万には程遠い数であるが、農水省は、これから年末までの間に2万5000の新たな契約を審査するとしている。

 契約の地理的配分には大きな不均衡があり、南西部、中央山塊周辺、ロワール地方で非常に多く、深刻な水質・環境問題をかかえるブルターニュでは比較的少ない。

 契約の半数は畜産農家が関係している。契約の55%は水質改善の目標を含み、投資援助の27%が環境と動物福祉の改善、12%が生産物の品質改善に向けられている。契約の13%は生物学的農業(有機農業)への転換にかかわる。新たな雇用創出のためには、15のCTEが成立した。

 1契約(5年間)ごとの平均援助額は17万5000フラン(2万6680ユーロ、約300万円)であるが、契約面積に応じて変わる。

 経営者の23%を占める40歳未満の者(青年農業者)が、契約では42%を占めている。契約は孤立した小経営者よりも、集団形式の経営者のほうがアクセスしやすいものになっている。個人ではなく、400以上の地域にかかわる集団プロジェクトに関する契約もなされている。

 農水省は契約テーマの一層の多様化ー地方産品のプロモーションや新たな商品化(流通)形態の導入などーを希望している。

 なお、CTEに関する詳細については、「日仏農業基本法の比較検討」『農業構造問題研究』2000年No.2を参照されたい。

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