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イギリス:行動規範、スーパーの取引慣行を変えず、「地球の友」調査

農業情報研究所(WAPIC)

03.3.17

 3月17日、「地球の友(UK)」が、1年前に導入されたスーパーマーケット行動規範(注)にもかかわらず、多くの農民はスーパーの商慣行に変化がなかったと感じているという調査結果を明らかにした(Press Release:SUPERMARKET CODE FAILS FARMERS )。これは、酪農、畜産、耕種、果実・野菜にかかわる161の農民との面接調査の結果を報告するもので、農民は、規範(コード)がカバーするすべてのスーパーマーケット−テスコ、センズベリー、アスダ、セーフウェイ−についてこのように感じている。

 (注)この規範(コード)は、スーパーマーケットに対する調査に基づく競争委員会の勧告に続いて導入された。この調査は、スーパーマーケット部門で競争が働いていることを認める一方で、スーパーマーケットとその商品の納入者の関係が公益に反する可能性を発見した。供給者は新たな製品の開発や革新への十分な投資や支出ができず、品質や消費者の選択の幅を低下させることになっている可能性があると指摘されていた(Supermarkets,a report on the supply of groceries from multiple stores in the United Kingdom,October 2000)。

 回答者の半数弱がコードについて知っていた。58%の回答者は、コードがスーパーの彼らとの取引方法を変えなかったと考えている。農民の26%が、追加コストの補償されることなく、輸送または製品の包装を変えるように要求されている。16%の農民は、製品に欠陥がないのに、売れ残りや廃棄された製品のコストも埋め合わせねばならない。多くの農民(例えば酪農民の52%、果実・野菜農民の3分の1)が、生産価格と同じか、それ以下の支払しか受けていない。

 多くの農民が、不公正な取引慣行を禁止する新たな立法の構想を支持しており、スーパーの彼らとの取引慣行を監督する独立規制機関を求めている。回答者の3分の1ほどが契約解除を恐れて不服を訴えられないでいる。

 ’地球の友’は、政府に対して、競争委員会のもともとの勧告に沿って、コードを拡充強化するように要求している。新たなコードは、卸売り業者などを通して間接的にスーパーに納入する農民もカバーするように拡張されねばならないし、新たなコードの有効性を確保する独立監視機関を指名すべきであると言う。その食料・農業キャンペーンに携わるサンドラ・ベルは、「スーパーマーケットが英国農民を締め付け続ければ、彼らは人々が望む高品質の国産食料品への投資ができなくなり、多くが農業をやめることになるであろう。これにより、我々には最大規模の集約的農場が残されることになり、輸入食品への依存が高まる」と語っている。

 「ガーディアン」紙(Farmers 'still exploited by big retailers,Guardian Unlimited,3.17)によれば、全国農民同盟(NFU)も「コードは機能していない」と言っているが、小売業者は納入者との関係は良好であり、コードは直接納入者だけをカバーするものだと指摘している。