フランス:主要農産物価格が不断に低下、生産者価格は生産費を下回る

農業情報研究所(WAPIC)

03.10.20

 10月16日、フランス国立経済統計研究所(INSEE)が、EU共通農業政策(CAP)改革以来の主要農産物の価格が、市場の国際化と技術進歩により、不断に低下してという研究を発表した()。1991年から2001年までのユーロ固定価格の動きを推計したものだ。INSEEは、2001年の多くの農産物の生産者価格が生産費を下回っていることを強調している。

 価格低下に直面し、1993年、2000年に行なわれたCAP改革は、一定農産物については、生産調整をしながら一定の価格を保証した。しかし、その他の生産物にはいかなる援助もなく、価格は大きく変動することになった。

 大部分の農産物の価格は、1991年から2001年まで、ユーロ固定価格で低下、この傾向はEU全体に広がっている。軟質小麦とナタネの価格は年に5%から6%の率で低下、世界市場価格に近づいた。甜菜と牛乳の価格低下はより緩やかで、年にそれぞれ年0.6%、0.3%の率の低下だった。フランスの豚肉価格は、変動が大きいが、1995年以来、平均2.6%の率で下がった。大部分は国内市場で取引されるジャガイモの価格は周期的に変動した(年平均0.7%の上昇)。

 価格低下を補償する直接支払補助を加えた実質価格では、軟質小麦とナタネの価格は、それぞれ1.9%、0.0%の低下にとどまった。豚肉、ジャガイモでは、補助の恩恵はゼロに近い。軟質小麦の生産費は年率0.5%の低下にとどまったから、単位生産量当たりの純収益は低下した。牛乳では、実質価格は0.2%の率で増加したが、生産費は0.3%の率で増加したから、その純収益も減少したことになる。

 農業情報研究所(WAPIC)

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