EU農民、スーパーの支配的地位乱用を訴え大規模抗議行動を計画

農業情報研究所(WAPIC)

03.12.3

 今月末、農民が大規模小売店の生産者価格に対する締め付けに光を当てるために、EU全体での前例のない行動を計画している。ブリテッシュ・アイリッシュ酪農民会議の傘下のアイルランド加工乳供給者協会(ICMSA)と「ファーマーズ・フォー・アクション」が、フランス、ベルギー、オランダ、ドイツ、ルクセンブルグの農民と共に、未だ名前が明かにされていないイギリスの流通センターの外で大規模なデモを計画しているものだ。

 きっかけは、小売店で販売される牛乳の価格引き下げをめぐって紛争中のアイルランド大型スーパー・Dunnes Storesからアイルランド農民が排除されたことにある。週末、多数の農民とともに全国のこのスーパーで抗議してきた一人、アイルランド農民協会(IFA)前会長のジョン・ドネリーが、退去を拒んだゴールウェイのDunnesから強制排除された。酪農民は、激化する小売価格戦争のために牛乳価格が引き下げられるのを恐れている。

 さらに、野菜とポテトの生産者は、テスコが納入生産者は他の小売店に納入できないと発言したことで神経を尖らせている。スーパー店長は、生産者との会合で、彼らとその雇用人はテスコの店舗でのみ買い物をすべきだと語ったともいう。IFAはテスコの政策を明確にするための会合を要求している。

 生産者価格決定への大型スーパーの影響力はイギリスで最強と言われ、これが「ファーマーズ・フォー・アクション」の結成につながった。今回の行動の目的は、農民はもはやスーパーの支配的地位の乱用に耐えられないことを各国政府、EU、大型店にはっきり示すことにある。ICMSAは、このようなことは、農民が公正な生活水準を達成できねばならない、市場は安定と手頃な消費者価格を実現しなけれならないというローマ条約(欧州経済共同体設立条約)の第39条に違反するものだと言う。

 農民は欧州議会のコックス議長との会合に参加、来年の欧州議会議員選挙に向けて圧力を強める。

 ニュース・ソース
 EU farmers'backlash to storanglehold of multiples,Irish Independent,12.2

農業情報研究所(WAPIC)

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