EU 穀物価格高騰に対処する強制減反停止を正式決定 輸入関税停止も提案

農業情報研究所(WAPIC)

07.9.27

 9月26日に開かれた会合で、EU農相理事会が、今秋と来春の穀物作付けに当たっての強制減反率をゼロとするという欧州委員会の提案(欧州委 穀物市場逼迫で今秋と来春の強制減反を停止 最低1000万トンの増産を見込む,07.9.14)を正式に承認した。これにより、気象条件のために今季と来季の減少が予想されているEUの穀物収穫量1000万トンから1700万トン増える見込みという。

 2819ème Conseil AGRICULTURE et PECHE, Bruxelles 26 septembre 2007 (version provisoire),07.9.26
 

 なお同日、フィッシャー・ボエルEU農業担当委員は、供給不足による価格高騰を抑制するためのさらなる手段として、2008年6月に終わる現販売年度における穀物輸入関税賦課の全面停止ー市場条件が再導入を正当化しないかぎりでーを提案した。

 EUの穀物実行関税は、穀物品目ごとの世界基準価格に基づいて定められるが、世界的に価格が高騰している現在、デュラム小麦、高品質軟質小麦、ライ麦、ソルガムの関税はゼロとなっており、これらに対する関税賦課停止は、事実上、何の効果もない。ただ、米国市場基準価格の変動が激しいトウモロコシについては、9月16日以来、トン当たり1.93€の関税がかけられている。また、大麦や中・低品質の小麦には、特にCIS諸国等からの輸入急増に対処するために、関税率割当が適用されている。

 ただ、欧州委員会は、これにより供給と価格にどれほどの影響があり得るかについては何も述べていない。

 Commission to propose suspension of import duties on cereals,07.9.26

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