イギリス 蜜蜂等授粉昆虫減少の原因の本格究明へ 

農業情報研究所(WAPIC)

09.4.23

  イギリスが蜜蜂やその他の授粉昆虫(蝶、蛾など)の減少の原因の本格的究明に乗り出す。

 これらの昆虫は多様な病気や環境の脅威に曝されている。これらの脅威はこの5年から10年の間に大きく増加した。気候変動、特に暖冬や夏の多雨が、授粉昆虫に大きな影響を与えている。その結果、授粉昆虫の数は、近年着実に減少しており、イギリスの蜜蜂は、過去2年で10%から15%減った。

 何故こんなことになったのか、それを究明するために、イギリスの主要研究資金提供団体が共同、新たな研究プログラムを立ち上げる。最大の難問は、授粉昆虫の健康と寿命に影響を与える生物学的及び環境的諸要因の複雑な関係を解き明かすことだという。

 環境食料農村省(Defra)は既に1月、研究資金に200万£(約2.8億円)を追加したが、バイオテクノロジー・生物科学研究カウンシル(BBSRC)、Defra、自然環境研究カウンシル(NERC)、ウエルカム・トラスト、スコットランド政府が共同、新たに1000万£の研究資金を提供する。イギリス中の研究チームが利用できるということである。

 £10 million initiative launched to tackle bee and pollinator decline,Defra,4.21
 http://www.defra.gov.uk/news/2009/090421a.htm

 フランスは、2020年までに持続可能な農業を築き上げるための行動計画の柱に、「持続可能な養蜂のための蜜蜂計画」を掲げている。蜜蜂の減少の原因を突き止め、消滅を防ぐために、養蜂技術研究所と養蜂職能間組織を立ち上げる(2020年のフランス農業 生産性維持と自然資源・生物多様性の保全,09.3.2)。日本は、農業で酷使するために、辛うじて生き残っている蜜蜂をかき集め、輸入の可能性も探っている。蜜蜂は、肥料や農薬と同じ、ただの農業生産手段の一つにされてしまっている。日本の蜜蜂の未来はない。

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 農水省 漸く蜜蜂不足の調査へ 蜜蜂保護の視点が欠如,09.4.4