農業情報研究所農業・農村・食料欧州ニュース:14年6月24日

EU 農産食料品輸出で世界一 対米・対日輸出は鈍化 貿易交渉に火の種?

 欧州委員会の最新報告によると、2013年のEU28か国の農産食料品輸出額が米国を抜いて世界のトップに躍り出た。ユーロ高にもかかわらず、中国やその他の新興国・途上国の需要の増大が輸出を押し上げた。中東・北アフリカへの小麦や大麦など穀物輸出の増加だけで輸出増加の3分の2以上を占める。中国への輸出も、サウジアラビアに次ぐ速さで成長している。麦芽エキスや豚肉がこの輸出増加を支えている。

 アジア諸国への輸出が9.1%の伸びを示す一方、米国への輸出は僅かな増加を見ただけである。他方、米国からの輸入は家畜飼料を中心に急増した。貿易収支はなおEUにプラスだが、進行中のEU・米国貿易投資協定交渉はどちらも譲れない激闘の場になると予見させる。

 なお、対日本輸出は対ユーロ円安のお陰で伸び悩んでいる。日本からの輸入は微々たるものだが、豚肉、ワイン、チーズなど、EPA交渉による日本への輸出攻勢が強まるのも必定だ。

 Agricultural trade in 2013: EU gains in commodity exports,European Commission,14.6.19
  http://ec.europa.eu/agriculture/trade-analysis/map/2014-1_en.pdf