農業情報研究所農業・農村・食料欧州ニュース:14年11月14日

フランス農業雇用に関する最新統計情報 経営主の平均年齢50歳 日本と大差

 フランス農業省統計局が農業雇用に関する最新統計情報を発表した。

 Le bilan annuel de l’emploi agricole selon l’orientation technico-économique de l’exploitation - Résultats 2012
  http://agreste.agriculture.gouv.fr/publications/chiffres-et-donnees/article/le-bilan-annuel-de-l-emploi-10577

 農業経営体数、農業従事者数、農業経営主の平均年齢を日本と比較して示すと下表の通りである。但し、2000年の日本の経営体数は農業センサスによる「販売農家数」である。また、農業従事者数は日本が「基幹的農業従事者」数、フランスは「農業労働単位(UTA)」(農業労働時間から換算した年間フルタイム農業従事者数)、2000年の日本の経営主平均年齢は基幹的農業従事者の平均年齢である。

    2000年・A 2012年・B B/A(%)
農業経営体数(1000) 日本 2,154.9 1,563.9 73.6
フランス 663 490 73.9
農業従事者数(1000人) 日本 1,847.0 1,505.2 81.5
フランス 957.4 751.4 78.5
経営主平均年齢 日本 62.2 66.2  
フランス 49 50  

 フランスの農業経営体数は2000年—2012年の間に小経営、中大規模経営ともに同率で減少、全体で26%ほど減った(共同経営・会社経営だけは12万6000ほどから15万6400ほどに増えた)。農業従事者も20%ほど減った。こういう動向は、日本とほとんど変わらない。

 ただ、日仏で大きく違うのは経営主の平均年齢だ。フランスの経営主の平均年齢は50歳にとどまり、この10年、ほとんど上がっていない。経営主の世代交代がうまくできている証拠だろう。これに比べると、日本の経営主は平均して16歳以上も高齢だ。この差はどこから生じるのか。

 フランスは農業政策から農民・農村政策に梶を切った。日本の食料・農業・農村基本法(新農基法、1999年)は、農民を土地、水などの農業資源と並ぶ単なる「担い手」と観念、ただただ産業としての農業の効率性を高めていくことだけを要請する。つまり、日本の農政は完全に「農民政策」を欠いている(中村宗弘 近代農政思想の史的展開 丸善出版 2007年)。この日仏農政のギャップはその有力な要因と目されよう。