農業情報研究所農業・農村・食料欧州ニュース:14年11月28日

アイルランド研究者 農作業がメンタル・ヘルス問題を抱える人の優れた治療法

 アイルランドのユニヴァーシティ・カレッジ・ダブリンの農業・食品科学校の研究者が、農作業を療法として利用することで、メンタル・ヘルスの問題を抱える人を3年以内に1000人以上助けることができると言っている。

 同校のキンセラ博士は、20人の農民とその家族が関わるEU資金によるパイロット・ソーシャル農業プロジェクトを利用、特別な治療が必要でメンタル・ヘルス問題を抱える66人を一週間に一日、彼らの農場と家庭に送り込んだ。動物と自然と共に働くことが優れた治療法となることが証明された。

 パイロット・プロジェクトは終了、農民はボランティアとして仕事を続けたが、何らかの形での報酬の支払がないと今後も続けるのは難しいと分かった。労働コスだけでも一家族当たり6000ユーロ(約90万円)かかる。

 もし国による資金供給と支援があれば、3年以内にすべてのカウンティ(日本の県に相当。全国で29のカウンティがある)が各々10から12のソーシャル農場を持つことできる。2017年末までには300の農場が数千の人々に療法を提供できる。オランダには既に1000のソーシャル農場があるという。

 Farming as therapy could help 1,000 people within three years,Irish Times,14.11.27

 離農、耕作放棄が後を絶たず、他方精神的疲労やストレスに悩む人は増えるばかりの日本も、国策として本格的に取り組んだらどうだろう。