農業情報研究所農業・農村・食料欧州フランス農民スーパー抗議-ニュース:16年2月7日

フランス西部農民、抗議に立ち上がる 何処も同じ農民泣かせのスーパーの商慣行 

 2月5日、フランス西部各地の農民が、スーパーの低価格商品調達や原産地無表示・誤表示に対する抗議行動を展開した。

 ブルターニュ西端の港湾都市・ブレストの街はずれでは、トラクタやトレーラーでやってきたフィニステール県北部の150人ほどの農民がスーパー・カルフールの前に集結、その周辺にゴミをぶちまけた。さらに、アーケード街に麦わらを敷き、カートで作った急ごしらえの囲いの中に子牛と子豚を放った。

 牛乳、豚肉、野菜の生産者たちは、次いでスーパーの豚肉売り場に移動、原産地(国)表示が無いか間違っている製品や外国産の肉を満載したカートで売り場を満たし、さらに通路に放置した。マドランジュ(Madrange)、エルタ(Herta)、フルーリー・ミション(Fleury-Michon)・・・フィニステール青年農業者書記長は、肉がどこから来たのか全然分らないと言う。

 一人の牛乳生産者は、「低価格に導く大規模流通業者を非難し、公平なマージンを求める」、「私は生産費が1リットル当たり33セント(0.33ユーロ)かかる牛乳を27セントで売っているのに、スーパーでは90セントで売られたいる」と言う。

 同様な抗議行動はモルビアンサルトなどでも広がっている。

 Nouvelles actions d'agriculteurs contre des grandes surfaces dans l'ouest,Agrisalon,16.2.5

 生産者=農民泣かせのスーパーの商慣行は何処も同じ、今日の日本農業新聞は、イギリスの最大手スーパー・テスコの”悪行”を報じている。山田優特別編集委員によると、1月下旬、テスコが取引業者に行った”悪行”を調べた政府の監査報告がまとまった。テスコは全面的に非を認め、、改善を約束した、「最低でも生産費を賄える公正な価格で牛乳を買う」「直接取引を増やし酪農家を支援する」なども約束」したという。

 英国政府 大手小売り”業者いじめ” 違反認定し改善命令 日本農業新聞 16.2.7 1面 

 英政府 小売りテスコ社監査 公正欠く慣行にくぎ(解説) 日本農業新聞 16.2.7 3面 

 しかし、それで他のスーパーとの激烈な安売り競争に勝てるだろうか。あの手この手で約束をすり抜けるに違いない。記事は、「弱い立場の農家や食品メーカーを痛めつける小売り業者の優越的な地位乱用は、日本を含め世界中で大きな問題だ」と言うが、グローバリゼーションの時代、この問題を克服できき国は、世界広しと雖も何処にもない。

 小泉進次郎・自民党新農林部会長、、①「生産者の所得向上につながる生産資材(飼料、機械、肥料など)価格形成の仕組みの見直し」、②「生産者が有利な条件で安定取引を行うことができる流通・加工の業界構造の確立」 で「農政新時代」を切り拓くのだそうである。もしそんなことができれば、まさに農民救済ノーベル賞ものだ。お手並み拝見といきたいが、まずはイトーヨーカドー やイオンの「監査」、何時始まるのだろう。

  「農政新時代」の中身 農業生産資材・産品の流通・価格形成見直し 絵空事のほか何もない 農業情報研究所 16.1.5