農業情報研究所農業・農村・食料欧州ニュース:17年5月28日

フィンランド世論調査 64%が農業者補助は必要 農家借金は10年で倍増

 フィンランドの「農村の未来」(Maaseudun Tulevaisuus、週3回発行)紙の農業者補助に関する最近の世論調査結果が発表された。日本ではまず報じられることのない情報なので、ここに紹介しておくことにした。

 調査は1005人に対するインタビューを通して行われた。回答者の64%が、適切で良質の国産食品を確保し・同時に国の農業者を保護するためにも、国の農業者支援が必要と答えた。多くの人は、農村のコミュニティーとそのサービス(人々に何等かの利益をもたらす働き)を支援するためにも補助金が必要と答えた。

 農業補助金は無用と答えた人は10%、国の農業補助反対の急先鋒は首都圏に住む高給取りの男性企業管理職者(これはアベノミクス農業改革にいかれた日本でも同じだろう)。農業補助の最大の支持者は高齢市民、中央党(社民党、国民連合と並ぶ三大政党の一つ、中道・リベラル)支持者と農村地域居住者だった。

 回答者の4分の1は、農業補助金には良い面と悪い面の両面があるとして、この問題については立場を明らかにしなかった。

 なお、今年3月発表の統計では、農家の平均負債(借金)は2004年の3万9000ユーロが2015年には7万5000ユーロ(940万円ほど)に増大している。 

 フィンランド農事局(EUの農業援助と農村開発基金の使用の担当機関) によると、2013年、5万8000ほどの農家が支援を求めている。

この補助金は新規事業投資、農業多角化、開発計画なのために使われるという。

 Poll: Majority in Finland says agricultural subsidies are necessary,YLE,17.5.26

 関連情報 

 EU共通農業政策(CAP)に関するEU及びEU各国市民世論調査結果 

 Eurobarometer: Europeans, agriculture and the Common Agricultural Policy (2016),European Commission,17.5.28