農業情報研究所>農業・農村・食料>欧州>ニュース:18年4月12日 欧州委 EU2021-27年予算を提案 農業政策(CAP)予算カットにフランスが猛反発
欧州委員会が5月2日、2021年―2027年のEU長期予算を提案した。イギリスのEU離脱で歳入が減る一方、不安化する世界の中で安全と安定を確保しなければならない。よって、研究・イノベーション、青年層、デジタル経済、国境管理・防衛など新たな、また差し迫った優先分野への支出を増やす一方、共通農業政策(CAP)や結束政策(Cohesion
Policy、域内後進地域の構造改革や長期にわたる移住民統合支援)への支出を減らす(約5%)ことで予算節約を図るという。
EU budget: Commission proposes a modern budget for a Union that protects, empowers and defends,European Commission,18.5.2
早速、フランスが反発した。フランス農業食料省は同日、CAPは最も旧く・最も統合化された欧州建設政策であるだけではなく、EUの安全保障と主権を賭けた戦略的政策でもある、この提案は到底受け入れることができないと発表した。
Budget de l’Union européenne : des propositions inacceptables de la
Commission européenne sur la PAC,Ministère
de l’Agriculture, de l’Alimentation,18.5.2
ステファヌ・トラヴェール農業食料相は、このドラスチックで無分別なCAPの格下げは検討にも値しない、直接援助が基本的セーフティーネットをなしている農業者の所得を大きく減らすことで経営の存続を脅かす前例のないリスクをはらんでいると言う。フランス政府は、気候変動と世界市場の変動に直面している農業者を保護し、農業・食料産業の発展の障害を取り除き、環境尊重農業への移行に寄り添うCAPの現代化と簡素化を防衛するのだという。
どうやら、欧州経済共同体(EEC)におけるCAP創設時に見られたようなドイツとフランスの対立が、フランス政府と欧州委員会の間で再現することになりそうだ。
Budget
de la PAC : la France juge « inacceptables » les propositions de Bruxelles,Le Monde,18,5.2 EU budget faces criticism over costs and agricultural subsidies,Deutsche Welle,18.5.3 |