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イギリスで大規模昆虫農場建設 蛋白生産の効率は大豆の300倍と言うが・・・

 

フィナンシャル・タイムズ紙が報じるところによると、イギリス政府が同国最初の産業規模の昆虫農場建設を支援している。

農場を建設中のEntocycle社は、家畜飼料向け蛋白質としてフェニックスワームと呼ばれるアメリカミズアブの幼虫500万匹を飼育、その糞は肥料として園芸産業に販売することを計画している。

 

 政府はこのプロジェクトに1000万ポンドを投資、スーパーマーケットグループのテスコも、魚の納入者がEntocycle社から昆虫ベースの養殖飼料を購入するように奨め、過熟の果物や野菜、消費期限切れベーカリー製品などの廃棄物を昆虫飼料として供給することで計画を支援する。

 

スタート・アップに必要な資金はシリコンバレーのY Combinatorを含む私的資金源から800万ドルを確保した。年末までにはさらに2000万ドルを確保する。グループは、昆虫は蛋白生産に関して、大豆―グリーンピースが森林破壊の第二の元凶と言う―よりも1㎡当たり300倍効率的だと言う。

 

 バークレイズの昨年のリポートによると、世界人口が増加、環境負荷が小さな蛋白源が必要になるから、昆虫蛋白質市場は2030年までに80億ドルに達するだろうということだ。

 フランス、オランダは既にペットフード用、養魚用に昆虫を製造する大規模施設を建設している。EUも昆虫を家禽などの飼料として認めようとしており、欧州食品安全機関(EFSA)はフェニックスワーム、コオロギ、ミールワームなど8種の昆虫が人間消費用に認められようと言う。

 

 昆虫食は東洋の伝統だが、西洋でも機は熟した。

 

ただ、スェーデン農業科学大学の研究者は懐疑的だ。昆虫農業の持続可能性は未だ証明されていない、廃棄物管理や事故による昆虫放出の可能性などの分野の研究が欠如しているという。

   

  Industrial-scale UK insect farm secures government backing,FTcom,20.9.27