農業はフランスのアイデンティティ フランス2020年農業センサス結果
フランス農業・食料省が12月10日、2020年10月10日と2021年5月15日の間に行われた2020年フランス農業センサスの結果の大要を発表した。それによれば、農業はフランス本国領土の半分を占め、何らかの品質マーク(フランスの農畜産品品質マークの現況 農業情報研究所 03.5.27)の下での農業生産が3分の1以上を占め、フランスの農業モデルは生産の多様性と家族経営に基づく人間的規模のものであり、農業者の世代交代も順調に行われているという。
Recensement agricole 2020 :
Julien Denormandie présente les premiers résultats du recensement décennal,Ministère de l’Agriculture, de l’Alimentation,12.12.10
フランス国土の半分を占める農業
経営数は2010年以来減っているとはいえ、農業は常に本国領土の半分(2670万ha)を占め、栄養供給、景観保全の両面で不可欠の役割を演じている。国の歴史と領土で占める位置からして、農業はフランスのアイデンティティの一部をなしている。
品質マーク生産が3分の1以上
10万6000の経営が品質ラベル産品を生産している。それに有機農業経営と高度環境価値(Haute Valeur Environnementale)経営が加わる。有機農業(agriculture
biologique)経営は4万7000(フランス農業経営12%)で、10年で3倍に増えた。新しく設けられた(2012年)高度環境価値は2万5500(フランス農業経営12%)、3年で20倍に増えた。
生産物の多様性と家族経営に基づく人間的規模の農業モデル
経営の規模拡大は続いているが、2010年から14ha増えた2020年平均経営規模は69haで、米国などよりはるか小さく、なお人間的規模が続いている。
同時に、畜産48、植物生産52%で、生産物の多様性が維持されている。10年間に植物生産が多数派になった(2010年は45%)。全農業経営で75万9000人が恒常的雇用を得ている。
世代交代は順調
新規就農数は10年間安定していたとはいえ、引退者の後を埋めるには7000人足りない。実際、50歳以上の経営主は10年の52%から20年には58%に増えた。
しかし、40以下の農業者は10年来減っていない。これは農業が依然としてダイナミックで魅力的であり続けていることの証左である。
関連:仏の戦略に倣うべき センサス見る日本農業 万象点描(北林寿信) 日本農業新聞 15.12.4