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欧州委 農家の休耕義務を解除を提案 ウクライナ戦争による食料安保危機に対処

 

日本は水田活用交付金カットで逆方向

 

  欧州委員会(EU行政府)が323日、EUの援助を受けるためには農家は耕作地の一定割合を休耕地としなければならないというEU規則の例外措置を講じることを提案した。

 

ロシアの対ウクライナ戦争がもたらした食料安全保障の対する脅威に対処するためだ。穀物の二大生産国の戦争はオイル、小麦、大豆、採油用菜種、ヒマワリ、トウモロコシの記録的価格上昇を引き起こし、ロシアはヨーロッパが依存する肥料の輸出を停止すると脅している。

 

そこで、長年続いてきた休耕義務を例外的に解除、EUの農業と食料生産に活を入れるというのである。これらの土地を、とりわけ飼料不足に悩む畜産農家を助けるように蛋白質植物栽培に当てる。

 

休耕は生物多様性維持のための重要な措置ではある。2023年から実施される新たな共通農業政策でも、10㌶以上の経営は土地の最低4%を休耕地に当て、自然に委ねねばならないとされている。だが、今はそんなことを言っている場合でないという。

 

ただ、2030年までに農薬使用を半減させ、化学肥料を20%削減し、有機農地農地割合を25%とする「グリーン・ディール2030年目標」(Green Deal 2030 targets and agricultural production studies)は維持すという

 

Commission acts for global food security and for supporting EU farmers and consumers Europeann Commission 22.3.23

Communication on safeguarding food security and reinforcing the resilience of food systems Europeann Commission 22.3.23

 

ところで、日本(政府)はウクライナ戦争の痛みなど全然感じていないようだ。EUと真逆の方向を向いている。水田活用交付金カットで「離農が続出し、耕作放棄地がさらに広がる」のも一向に意に介しない(【鈴木宣弘:食料・農業問題 本質と裏側】「食料危機」の今、どうして「農業潰し」なのか 農業協同組合新聞 22.3.17)。