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EU、北海タラ漁獲の大幅削減長期計画を提案

農業情報研究所(WAPIC)

03.5.7

 5月6日、欧州委員会が消滅が危惧されるタラ資源の長期的回復計画を提案した(First application of the reformed Common Fisheries Policy: Commission proposes long-term recovery plan for cod,5.6)。これは、過去2年間に実施された措置にもかかわらず、再生産される資源以上の資源の漁獲が続いているためである。提案は、漁獲割当の削減、漁労活動制限、これらの実施を確保するための特別監督・監視ルールなどの現在の一時的措置を長期的措置に置き換えるものである。これらの措置は、タラ資源を持続可能なレベルまで回復させることを目的とする長期戦略の枠組みのなかで取られる。目標達成には5年から10年かかると推定されている。この多年次計画は、資源状況に応じて提案する一連の長期資源回復・管理計画の最初の計画であり、近くヘイクの回復計も提案される。

 この計画の発表にあたり、フランツ・フィシュラー担当委員は、長い将来にわたり資源を保全するために、産業はこれらの措置を受け入れねばならないと警告、しかし、多くの漁業者が苦境に立たされることになるために、関係国政府に対して、措置の影響を緩和する目的でEUが利用可能にする一層多くの資金を支出するように要請した。

 欧州委員会は、漁獲割当量の厳しいカット・漁船規模の削減・海上で過ごすことが可能な日/船舶数の厳しい制限なしでは、北海のタラ資源は永久に消滅すると考えている。過去10年間に、北海タラ資源は15万トンから3万8千トンに減ったとされる。回復計画はタラ漁獲割当の45%削減と海上で過ごす日数を制限した昨年の共通漁業政策(CFP)の抜本改革(EU共通漁業政策(CFP)改革に関する理事会決定,02.12.26)を受け継ぐものであるが、実際には昨年の漁業担当閣僚の合意を超える。欧州委員会は成魚の数を毎年30%引き上げるという新たな目標に従う割当を目指しており、これは漁獲割当のさらなる削減につながる。また、海上で過ごすことが可能な日/船舶数も漁船エンジンの馬力数に応じて上限を設定することから、これも一層削減される可能性がある。大規模漁船ほど大きな困難に直面することになる。

 これらの措置で最大の影響を受けるのは、北海タラの半分ほどを漁獲するイギリス、特にスコットランドである。スコットランド漁民は削減幅の大きさに驚いているが、欧州委員会が割当の配分方法は各国政府で決定することに合意したことは歓迎しているという。

 欧州委員会からの関連情報
 Fisheries: Reversing the decline of cod stocks: Commission proposes measures for the recovery of cod,5.6
 Dr. Franz FISCHLER Member of the European Commission responsible for Agriculture, Rural Development and Fisheries The new fisheries policy: a long-term recovery plan for cod Press Conference Brussels, 6 May 2003,5.6

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 Fears of collapse in cod stocks prompt call for cuts in quotas,FT com,5.7