農業情報研究所


米国:カリフォルニア農民、補助金反対を再考へ

農業情報研究所(WAPIC)

02.4.8

 4月8日付けのニューヨーク・タイムズ紙は、カリフォルニア農民が開放されたグローバル市場での競争の圧力が増すなか、伝統に反して連邦補助金の必要性を再考し始めたと報じている。

 カリフォルニア農業は、ハリウッドやシリコン・バレーを凌ぐ州のトップ産業であり、最近に至るまで、穀物・棉・飼料生産者に与えらてきたような連邦補助金に頼ることなくやってきた。州で補助金を受け取ったのはコメと棉の生産者だけであり、カリフォルニアが受け取った連邦補助金は年200億ドルのうちの3%にすぎない。しかし、北米自由貿易協定(NAFTA)のような諸協定により保証された開放市場の出現により、突如、連邦補助金に関心をもち始めた。

 いまや、中国のガーリックやリンゴ、メキシコのアスパラガスやラズベリー、ピーチ、ブロッコリー、カリフラワー、カナダのトマトなどがカリフォルニアの競争相手となった。農業における世界のスーパーパワーの地位があらゆる方面からの試練に曝されている。

 州農務長官は、補助金支払いをカリフォルニアの野菜・果実農民にも広げるように連邦政府に説得するキャンペーンに乗り出した。これら農民への補助金は、減反・水質浄化・農地改良などの環境保全プログラムへの参加を通して支払われることになる。しかし、これは伝統的な商品補助を継続し、環境プログラムへの支出をカットしようとする議会の障壁にぶつかっている。

 広告、テレビ、ラジオ、インターネットを通じて「カリフォルニア人にカリフォルニアを売る」キャンペーンも試みられようとしている。しかし、カリフォルニア・ファーム・ビューローの会長、Bob Pauliは「Buy California」キャンペーン以上のものが必要だ、なぜコメや棉は政府支払いに依存しているか分かったという。しかし、過去5年間に320億ドルの連邦補助を受け取った有機コメ生産者の一人は、「グローバリゼーションはすべての生産を競争的にした。なぜコメが補助金を受け取るべきで、野菜がそうでないのかは言えない。しかし、それは安定的な食料供給の問題だ」という。

 California Farmers Reconsidering Opposition to Subsidies,The New York Times,4.8

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