タイソン BSEによる牛肉輸出減少で3期連続の損失 飼料価格高騰の影響も懸念

農業情報研究所(WAPIC)

06.11.14

  世界最大の食肉加工企業・タイソンフーズ社が13日、鶏肉と牛肉の価格低迷で四半期3期連続の損失を発表した。牛肉事業では、5期にわたり利益がなかった。工場を閉鎖、生産高は減少し、価格は回復しつつあるという。

 業績不振の原因は、2003年12月のBSE発生を受けての輸出の急減にある。日本や韓国の輸入停止を最大の要因に、米国牛肉の輸出は2003年の25億ポンドから2004年には4億3400万ポンドにまで落ち込んだ。農務省は今年の輸出は11億7000万ポンド想、来年は15億ポンドになると予想している。輸出市場再開の速度が遅いために、タイソンの牛肉部門の損益は更に拡大する見込みという。

 Chicken and Beef Pricing Cited as Tyson Posts Another Loss,The New York Times,,11.14

  他方、エタノール工場からの需要増大による飼料用コーンの価格急騰も将来の経営に影を落す。最近のコーン価格は10年来の高さに達している。食肉生産者・加工業界は・小売業者は、利益を確保するためにこれを消費者に転嫁せねばならない。燃料と食料の競合・衝突が現実のものになりつつある。ノースカロライナに農場と加工施設をもつタイソンは、新たな収入源を生み出すために、2007年にもブラジル、アルゼンチン、中国でジョイントベンチャーを立ち上げ、その副産物である動物脂肪とチキンリッター(養鶏場廃棄物)をバイオ燃料に転換する更新可能なエネルギー部門を創出する予定という。

 Tyson warns of pricier meats,The Charlotte Observer,11.14
  http://www.charlotte.com/mld/charlotte/business/16006599.htm?source=rss&channel=charlotte_business

 米国牛肉産業はかつてない苦境に追い込まれている。韓国、日本に輸入拡大を求める米国の圧力はますます強まるばかりだろう。

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