世界第二の米食肉パッカー 1300人の不法移民労働者逮捕で生産縮小も

農業情報研究所(WAPIC)

06.12.15

  世界第二の牛肉・豚肉パッカー・スィフト社(Swift & Co)の米国6州にまたがる6つの工場の1300人近い労働者が13日、不法移民の取り締まりで逮捕され、工場は一時操業中止に追い込まれたが、間もなく再開されたという。

 Nearly 1,300 Swift Workers Detained, Company Returns To Operation,Cattle Network,12.14
 http://www.cattlenetwork.com/Content.asp?ContentID=90938

 逮捕者の大部分は入国許可証を持たずに入国したために行政罰に問われ、65人は数は刑事罰に問われた。その中には、数は非開示だが身分証明書を盗んだ者も含まれる。

 
 
逮捕者はテキサス、コロラド、ネブラスカ、ミネソタ、ユタ、アイオワの6州にまたがり、6つの工場の労働者の10%にあたる。出身国にはメキシコ、グアテマラ、ホンジュラス、エル・サルバドル、ペルー、ラオス、スーダン、エチオピアが含まれる。

 産業への影響ははっきりしないが、スィフト社では短期的には生産縮小が予想される。一部の牛がフィードロットに送り返されたという地方の報道もある。他方、タイソンフーズの報道員は、当局は会社に接触してこなかったし、工場は正常に操業を続けているという。

 しかし、移民・税関当局の報道官は、とりあえずスィフト社に狙いつけたのは、盗難文書を使う労働者が大規模に集中しているからで、他の食肉産業労働者に対するさらなる行動もあり得ると言う。これが発覚したのは、まったく無関係な理由で接見したスィフトの労働者が盗難身分証明書から時分の証明書を作っており、本物に見える偽造証明者が広く使われているらしいことがわかったからだ。そのうえ、スィフト社は調査を妨害したという。

 文書偽造はスィフトだけのこととは考えられない。これを契機に調査が強化され、他社も同様な事態に追い込まれるかもしれない。大量の不法移民労働者なしでは立ち行かない米国食肉産業の脆さが露呈した格好だ。それで日本や韓国に大量の、しかも安全な牛肉をどうやって輸出しようというのだろうか。

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