農業情報研究所農業・農村・食料北米ニュース:2014年8月29日

米国産米 中国米市場進出に食指 富裕層をターゲットに輸出拡大を狙う日本に強力なライバル

 チャイナ・デーリー紙によると、数年前までは想像もできなかったことだが、米国の米生産者・輸出業者・国際貿易機関が中国への米輸出を考え始めている。米国米連合会のボブ・カミングスがチャイナ・デーリー紙へのemailで、米国の米生産者は常に新しい輸出先を求めており、中国米市場への進出が重要と書いてきたという。

 今までも指摘してきたが、近年、中国の米輸入が急増している(中国新・米事情 失われる国際競争力 潤沢な世界米市場が中国を養う,13.10.24)。8月14日の米農務省レポートもは、今年中国の米輸入は350万トンに達すると予想する。急速に拡大する市場を米国が指をくわえて見ているはずがない。

 米国米生産者協会の新市場開拓部長のグレグ・イールディングは、「米国農民は高品質の米を生産でき、中国を高品質の米国米のもう一つの市場を見ている。世界の市場は様々だが、我々の米は十分に競争力があり、中国への進出は可能だ」と言っている。カミングスも、「米国産米は最高に安全との評判も得ており、中国消費者の心をつかむだろう。中国は最近。200万トンを輸入しており、この市場の一部を獲得するだけでも米国には重要だ」と言っている。

US rice could see potential market in China,China Daily,14.8.28

 米国産米も価格ではベトナム、タイ、インド、パキスタン、ミャンマーなどアジア諸国と競争できないだろう。しかし、品質勝負で中国市場の一部を獲得することはできよう。日本は米国に先駆け、富裕層をターゲットに中国米市場への進出をもくろんできたが、米国という強力なライバル出現で計画はとん挫ということになるかもしれない。農林水産物輸出倍増計画を掲げる安倍政府にもショッキングなニュースだろう。