農業情報研究所農業・農村・食料北米>ニュース:2021年3月28日

 

米政府 低所得者食料購入支援増額 コロナ禍に苦しむ消費者・生産者を援助

 

米国農務省(USDA)が栄養支援プログラム(SNAP)による低所得者向け食料購入支援(通称フードスタンプ)の給付額を今年9月から15%増やすと発表した。新型コロナ禍で十分に食べられない状況に陥っている家庭に推定35億ドル(3800億円超)を提供する。

 

 資金供給は、国民の飢えを減らし・食料サプライチェーンを強化し・農村に投資し・十分な行政サービスを受けておらず、社会的に不利な状況に置かれているコミュニティーに長い間待たれていた支援を提供するために連邦財源を投入するバイデン大統領のアメリカ救済プラン(American Rescue Plan)によって可能になるという。

 

 この増額により、一月一人あたり給付額は約28ドル(約3000円)、あるいは4人家族の家庭への一ヵ月当たり給付額は、約100ドル(約11000円)増えることになる。

 

 「米国で食料不安が広がるのは座視できない。アメリカ救済プランは、新型コロナで最も傷ついた人々に助けをもたらす。それは満足に食べられない家庭へのSNAP給付を増やす。経済を元の軌道に戻すために、働く人々、小さな町、小企業に投資する。これは、貧困を減らすための今までで最も意味のある投資である」(ビルサック農務長官)。

 

 USDAは毎日、多くの方法でアメリカ人の生活に関わっている。バイデン—ハリス政府の下のUSDAは、一層弾力に富んだ地方・地域の食料生産に焦点を当て、すべてのコミュニティーにおける健康的で栄養に富む食料へのアクセスを保証し、気候に適応した農業・林業のやり方を使用する農家と生産者に向けた所得の新た流れと市場を建設し、農村アメリカのインフラとクリーンエネルギー能力への歴史的投資をなすという。

 

USDA Increases SNAP Benefits Up To $100 Per Household with Funding from American Rescue Plan,.USDA,21.3.23

 

 日本でもコロナ禍で食料品、とりわけ米の需要が減少している。コロナ禍で仕事、収入を失い、食費を切り詰めている世帯、あるいは自力では本当に食べられない人も増えているに違いない。需要の減少に合わせた生産の調整を迫るだけでなく、こういう消費者の支援によって農産物需要を拡大する、これも立派な農業・農村・農家支援政策ではないか。日本農政の発想転換を迫るバイデン-ハリス米政権のアメリカ救済プランである。