農業情報研究所

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カリフォルニア:手作業除草に厳しい制限の要請

農業情報研究所(WAPIC)

03.5.24

 4月30日付の米国”サクラメント・ビー”紙が、農業労働者の弁護人が手による除草の厳しい制限をカリフォルニア職業安全・保健局に要請していると報じている。

 記事の冒頭では、100エーカーの有機農場での炎天下でのアカザの手による抜き取り作業の様子が描かれており、1日の仕事が終わったあとの労働者は背中が焼け焦げ、最悪の仕事だという。こうした作業はイチゴ、レタス、苗木、ブロッコリーなどの主要作物有機農場で行なわれており、手による除草が行われている州のレタス畑は22万8千エーカー、イチゴ畑は26万エーカーになる。こうした雑草の手取り作業は、1975年に州がショート・ホーを禁止したことの抜け道として使われているという。農業労働者弁護人は、1995年から2000年まで、議会に手労働制限を働きかけたが成功せず、労働安全・保健局に圧力をかけている。

 カリフォルニア農村法支援在団、アメリカ・カリフォルニア農業労働者連合の請願は、労働者を回復不能な脊椎のダメージから護るために、4フィート以上の柄のついた道具で除草を行なうべきだとしている。違反者には、各違反につき、被雇用者一人当たり最低500ドルの罰金を課す。多数の有機農業者を含む生産者は、長い柄の道具での作業は不正確になり、作物を傷めると反対している。

 辛く、最大の労働投入を要する除草労働は、どこの国でも有機農業の最大の問題点のひとつである。多くは生産者やボランティアの使命感で克服されている。しかし、有機農業が巨大規模化し、大量の雇用労働者を使うことになれば、これは重大な社会・労働問題となる。有機農業がいかに環境保全や食品安全に寄与するとしても、このようなな過重労働の強要は許されるものではないし、有機農業のイメージにも影響する。除草労働の軽減は、経済面だけでなく、社会的側面からも、今後の有機農業の最大の課題とすべきものと思われる。

 Adovocates renew fight to limit hand weeding,The Sacramento Bee,4.30