イル・ド・フランス州議会が有機農業計画 学校食堂消費拡大や転換・投資援助に13億円

 農業情報研究所(WAPIC)

07.10.1

  フランス・パリを取り囲むイル・ド・フランスの州議会が先月27日、とりわけ学校食堂における有機農産物の消費拡大を助長する2007-13年州有機農業計画を採択した。

 州が設置・維持の責任を持つリセ(高校)については、全国有機農業連盟(FNAB)及びイル・ド・フランス有機農業者集団と長期契約を結び、その食堂への有機農産物食品導入を直接促す。また、県が設置・維持の責任を負うコレージュ(中学)については、導入促進で県会と連携する。

 学校食堂での消費の促進に加え、6年にわたる有機農業への転換援助も強化する。また、例えば機械的除草機材や生垣植栽などに関し、州投資援助の枠内での有機農業者への利子補給も決定された。これらの措置のために800万€(約13億円)の財政資金が注ぎ込まれるという。

 フランスの有機農地面積は利用農地面瀬全体の2%ほどにすぎない。その中で、州はフランス第一の有機農産物消費州となることを目指すという。

 Ile-de-France - Le conseil régional vote un programme de six ans pour l'agriculture bio ,Web-agri,9.29.

 なお、フランスでは今、将来の環境政策を決定するための大統領提案”環境グルネル”(参照:フランス政府 GM作物商業栽培の”凍結”を準備 栽培統制強化立法の制定に向けて,07.9.21)に向けての準備作業が最終コーナーにさしかかっている。そのテーマには、省エネ建物、廃棄物削減、車の速度制限、更新可能なエネルギーの開発、遺伝子組み換え作物の扱い、健康有害物質の削減、生物多様性維持などと並び、有機農業の促進も含まれる。

 有機農業に関する準備グループは、2012年までに、企業や学校などの集団食堂のメニューの20%が有機農業産品で占められるようになることを勧告している。このために、生産者・地方公共団体・企業委員会に向けた標準契約が年末までに策定される。

 生産に関しては、有機農地面積の利用総農地面積に対する比率を、2010年までに6%、2020年までに20%に引き上げる目標が提案されている。また、2012年までには農業の50%が”高い環境価値”の基準を満たす農業ーまだ詳細は決まっていないが有機農業とは区別されるーにならねばならない。

 しかし、グループは、化学肥料賦課金、または窒素税に関する合意には失敗したという

 Grenelle de l'environnement : des propositions pour nourrir le débat,Le Monde,9.27
 20 % de "bio" dans les cantines

 イル・ド・フランスの動きは、こうしたフランス新政権の動きを先取りしたものと言えようか。