ラオス 投資家への土地譲渡が村人と環境に悪影響 首相府担当相、投資保護政策見直しが必要

農業情報研究所(WAPIC)

09.7.13

   ラオス首相府のカムアン・ブッパー国有地管理・保護担当相が、国内および外国投資家への土地譲渡をめぐる問題のために、土地のリースや譲渡に関する投資保護政策が見直されねばならないと語ったそうである。

 ラオス政府は、今までに1126の土地譲渡協定を結んだ。うち398は、一件あたり8000ヘクタールから5万ヘクタールの土地を外国投資家に与えるものという。しかし、同相によると、大部分の土地譲渡は、多くの場合村人の農地を含み、また保護林が加えられる場合もあるために、人々と環境に広範な影響を与えてきた。さらに、工業作物プランテーションのために、劣等地ではなく、保護林が譲渡されてもいる。

 土地の濫用は、譲渡に先立つ適切な土地調査の欠如によるという。

 Laos: Land Concessions Cause Widespread Impacts on People,VOA news,09.7.7
 http://www.voanews.com/lao/2009-07-06-voa7.cfm

 バイオ燃料作物や食料作物を栽培する農地を取得するための外国投資が、アフリカ、アジアの途上国に殺到している。そして、これら途上国政府は、現地住民と環境を無視して、外国企業誘致に狂奔している。その中で、政府が自ら非を認めた例は、筆者の知るかぎり、皆無であった。他の途上国 がラオスに続くことを期待したい。さもないと、世界は「新植民地主義」の波に飲み込まれてしまうだろう。

 関連情報
 http://www.juno.dti.ne.jp/~tkitaba/agrifood/overseainvest/index.htm

 なお、次も参照されたい。

 北林寿信 「食料「新植民地主義」への懸念――過熱する海外農業投資は何をもたらすか」 『世界』 (岩波書店) 2009年8月号