カナダのBSEは未知の環境要因による自然発生、一頭では終わらないー研究者

農業情報研究所(WAPIC)

03.9.29

 Canadian Pressの9月24日の報道によると、感染症の指導的研究者が、カナダの狂牛病(BSE)は一頭では終わらないだろうと語っている。カナダ保健省の感染・免疫研究所の科学部長であり、25日に開かれるプリオン病に関する会議のディレクターを努めるバギラス・シン(Bhagirath Singh)が、カナダにおけるBSEは、牛飼料の厳格な規制にもかかわらず、自然発生的に勃発するだろうと疑っている。1千万頭を超える牛がいるのだから、自然発生的な病気の可能性は常にある、一頭や二頭にBSEにつながる自然発生的変異が生じないと考える理由はない、というのである。

 BSEが確認された牛の感染源は未だに明らかになっていない。シンは、この感染は、多分遺伝子変異の結果であり、今だ分っていない環境要因の結果だろうと言う。彼は、BSE、鹿の慢性消耗病(CWD)、羊のスクレイピー、人間のクロイツフェルト・ヤコブ病などの感染因子である変異蛋白質(異常プリオン)の一層の研究の重要性を強調する。これらの病気については、分っていないことが多すぎる。潜伏期間はなお神秘に包まれており、ヨーロッパでは飼料規制後何年も経つのに、なおBSEのケースが増えつづけている。病気の診断法、治療法、発生と拡散についても分らないことばかりだ。

 彼は、カナダは昨年、プリオン病研究に120万ドルを支出したに過ぎず、この病気のフルタイムの研究者は3人しかいないと嘆き、研究の充実のためにはナショナル研究センターが不可欠と強調している。

農業情報研究所(WAPIC)

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