肉骨粉禁止にともなう廃棄物処理ーフランスの例ー

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農業情報研究所(WAPIC)

01.10.11

 今月4日から肉骨粉流通が全面禁止となった。このとき、それに伴って生じる廃棄物の処理に関しての懸念を表明しておいたが(日本:廃棄物をどうするのかー肉骨粉の輸入・製造・販売を一時停止)、心配が現実のものとなってきたようである。農水省は食肉処理の過程で生ずるくず肉・骨・内臓などを一旦肉骨粉に加工したうえで焼却すると決めたようであるが、日本経済新聞の調査によると31道府県が焼却処理の施設や能力に不安をかかえているという(同紙、01.10.11)。ある業者は倉庫が満杯で敷地内に肉骨粉のパックを積み上げているし、山積みの屑肉にカラスが集まり、住民の苦情が出ているところもある。早急に対策を講じないと重大な環境汚染を引き起こすであろう。

 そこで、昨年11月14日に急遽肉骨粉の全面使用停止に踏み切ったフランスの緊急対策事例を紹介し、参考に供したい(その後決まったEUレベルでの30ヵ月齢以上の牛の廃棄計画により、一層の対策が必要となっているが、ここでは触れない)。

 フランス政府は、昨年11月14日、家畜飼料の製造に乳・乳製品・卵由来のものを除く動物蛋白及び脂肪を使用することを停止させた(養魚のための魚粉は除く)。これにより、従来からの危険部位由来の動物粉に加え、肉骨粉としてリサイクルされていた低リスクの部位も肉骨粉に加工した後に焼却処分されることになった。それによるダイオキシン発生量の増加は微小と事前に評価されている。

 しかし、向こう4ヵ月に廃棄されるべき肉骨粉は25万トン追加されるのに、焼却能力は13万トンしかなかった。焼却施設の増強には時間がかかる。日々発生する肉骨粉は、とりあえず倉庫に貯蔵するしかなかった。そのために、直ちに新たな倉庫探しが始まったが、安全性に配慮した倉庫が簡単にみつかるはずはない。その最終的リストが公表されたのは12月28日のことであった。

 肉骨粉が大気・土壌・水の汚染を引き起こすことのないように、倉庫と肉骨粉の扱いは次のような条件を満たさねばならなかった。

・倉庫が立つ土地は平坦でなければならない。内壁や屋根は、肉骨粉の湿度が15%未満に保たれるように防水性をもたねばならない。

・ありうる緊急事態に備えて、緊急車両の建物や付属施設へのアクセスが場所ふさぎの物で邪魔されてはならない。

・肉骨粉が雨水等の水に触れてはならない。空気の侵入や流通からも遮断されねばならない。積み上げた肉骨粉の頂は熱を吸収しないように平らにならされねばならない。湿度の異なる肉骨粉は温度上昇の危険を避けるために隔離貯蔵されねばならない。肉骨粉冷却の必要が生じた場合のために使われるスペースが準備されねばならない。

・肉骨粉の湿度は15%未満。貯蔵場所に着いたときの温度は30℃未満でなければならず、これを越えている場合には貯蔵前に40cm未満の薄い層にして広げられる。

・閉鎖された、またはシートで覆われた車両での輸送。

・荷降ろしは肉骨粉が空中に飛散しないように行う。貯蔵区域では火気禁止。肉骨粉の温度は、少なくとも毎週コントロール。肉骨粉の山の上で作業する者は、適切な防具、特に防塵マスクを着用。温度上昇の際の介入においてはアンモニア発生のリスクを最小限にすること。最低1ヶ月ごとに昆虫と月し動物の増殖防止措置を取ること。貯蔵建物には、他の可燃物・支燃物・引火性の物を含まないこと。

・防火計画の作成。

・建物外部に臭気が漏れた場合には適切な処置を講ずること。

・倉庫は飲料水源保護区域外に位置しなければならない。

 資料:circulaire interministérielle du 15 novembre 2000 relative à la lise en oeuvre de l'arrêté du 14 novembre 2000 portant interdiction des farines et graisses animales dans l'alimentation animale,00.11.16
    

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