BSE検査に関する欧州委員会のQ & A(最新版)

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農業情報研究所(WAPIC)

04.5.21

 欧州委員会がBSE(狂牛病)検査に関する一問一答の最新版を発表した(Frequently asked questions about BSE-tests,5.17)。抜粋して紹介する

 BSE検査は何を捜すのか?

 共通に受け入れられているBSEの原因は異常な形に変化したプリオン蛋白質(PrPres)である。これは他の正常な蛋白質が異常型になる原因をなす。これらの蛋白質が凝集してシートを形成する。BSEの他の原因説や上記説の若干の変形もある。PrPresの存在は病気の標識(マーカー)とみなされる。

 BSE検査は検出可能なレベルのPrPres(病気の原因であるか、あるいは病気のマーカー)が検査される組織の中に存在するかどうかを決定する。

 欧州委員会はどれだけの検査を承認したのか? 

 欧州委員会は、これまでに次の五つの迅速検査(ラピッド・テスト)を承認した。

 ・Bio-Rad TeSeE test

 ・Prionics AG Check LIA test

 ・Prionics-Check Western test

 ・Enfer test-Inpro CDI-5 test

 現在、死後迅速検査の第三ラウンドの評価が進行中である。

 検査は実際にはどのように行われるのか?

 五つの検査すべてが、中枢神経組織の感染性病源体またはマーカーであるPrPresを検出することで行われる。動物の屠殺後、特別な器具を使って脳または脊髄のサンプルが採取される。この組織が試験所に運ばれ、PrPresの存在が検査される。迅速検査は迅速の結果が得られ、信頼でき、多数のサンプルの検査を可能にする。

 BSEの診断には他にどんな方法が使われるのか?

 BSEの診断に使われるその他の試験技術には、組織病理学的検査(スポンジ状脳障害の検出)、BSE微小繊維(スクレーピー関連微小繊維に相当)の検査、免疫組織化学またはウエスタン・ブロットによる検査が含まれる。

 検査はどんな目的で利用できるのか?

 検査はサーベイランスのために利用でき、消費者の追加的保護を提供する。

 1.サーベイランス

 検査はBSEが存在するかどうかを決定し、またその蔓延状況の指標(発生率)を得るために使うことができる。病気のレベルの変化を監視するために、これらは時を通じて利用することができる。

 BSEを示唆する兆候を示すすべての動物の強制検査に加え、BSEの迅速死後検査は、2001年1月1日から、次の動物について行われねばならない。

 ・緊急屠殺された動物または屠殺場の生前検査であらゆる種類の病気の兆候を示す動物。2001年1月から6月までは、30ヵ月齢以上のすべての動物。2001年7月からは、24ヵ月齢以上のすべての動物。

 ・人間の消費のために正常に屠殺される30ヵ月齢以上のすべての牛。例外として、スウェーデンはランダム・サンプルだけの検査を許される。

 ・死亡牛:農場または輸送中に死ぬか、殺された牛。2001年1月から6月までは30ヵ月齢以上の牛のランダム・サンプル。2001年7月からは24ヵ月以上のすべての牛。

 ・30ヵ月齢以上の牛の大多数が30ヵ月以上計画(OTMS)で廃棄処分される英国では、BSE検査はこの計画の下で屠殺される次の牛について行われる。不慮の屠殺に付されるすべての牛、96年8月1日以後に生まれ・正常な屠殺に付される42ヵ月齢以上のすべての牛、96年8月1日より前に生まれ・正常な屠殺に付される牛のランダム・サンプル。

 2.追加的健康保護

 BSEは比較的稀な病気である。しかし、屠殺に先立つ日常的な牛検査は、BSEの兆候が気づかれないかもしれない屠殺にだされた牛や未だ兆候を示さない病気のを発見する可能性がある。消費者保護の最も重要な手段は屠殺されるすべての動物から脳や脊髄などの特定危険部位を取り除くことである。これらの組織には、もしそれが存在するとすれば、ほとんどすべての感染性が潜む。特定危険部位の除去は、2000年10月1日から、EUにおける義務となっている。

 欧州委員会はBSE検査をどのように評価したのか?(略)

 評価の結果はどのようなものだったのか?(略)

 これまでの評価報告は

 "http://europa.eu.int/comm/food/fs/bse/bse12_en.pdf"The evaluation of tests for the diagnosis of Transmissible Spongiform Encephalopathy in Bovines (8 July 1999) Opinion of the Scientific Steering Committee on design of a field trial for the evaluation of new rapid BSE post mortem tests ( 22 February 2002)

 The evaluation of five rapid tests for the diagnosis of transmissible spongiform encephalopathies in bovines (2nd study 27 March 2002)

 Opinion of the SSC on the field trial evaluation of two new rapid BSE post mortem tests (2nd study 3 March 2003)

 検査は感染初期には何ができるのか?

 感染初期のBSEを検出する方法はない。BSEの平均潜伏期間は4年から6年である。従って、EUの検査計画は30ヵ月齢以上の動物を標的にしている。PrPresは病気の非常に初期の牛の脳や他の神経組織には発見されていないし、感染性も示さなかった。非常に多い投与量を処方された実験的感染では、感染性は腸の一部である回腸に発見された。これは自然感染では発見されていない。

 症状が出る前の牛の組織は何故使わないのか?

 そのような組織は日常的には利用できない。この組織は実験的に感染させ、症候が発達する前のおよそ3年後にこれらを屠殺することによってのみ生産できる。

 検査は症候が出る前の動物を発見したのか?

 検査は病気の明白な兆候のない正常に屠殺されたBSEのケースを発見したが、病気がどれだけ進展していたかは知ることができない。

 BSEの大部分のケースは、緊急屠殺に出されたか、農場で死んだのが発見された動物の検査により確認されてきた。これらの動物は何らかの病気の兆候を示したが、これらの兆候はBSEを疑わせるものとして扱われなかった。

 検査の費用はどれほどか?

 EU各国は競争的入札によって購入している。費用は入札結果や注文の規模、訓練が含まれるかどうかなどの要因に拠って違ってくる。欧州委員会は、2004年に行われる検査のためのサーベイランス計画に、1検査当たり最大8ユーロ(約1000円)の補助をしている。

農業情報研究所(WAPIC)

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