フランス:肉骨粉処理策を模索ーエネルギー利用が最終解決策か

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農業情報研究所(WAPIC)

01.11.21

  昨年11月14日、フランス政府は、狂牛病(BSE)根絶のために、動物飼料への肉骨粉利用を全面停止させた。従来はリサイクルされていた家畜廃棄物(人間の食用にならない臓器や骨)は、肉骨粉に加工した後、焼却するものとされた。しかし、焼却能力が足りない。焼却が可能になるまで、肉骨粉は、急遽探し出された倉庫に厳重に保管されることとなった(参照:肉骨粉禁止にともなう廃棄物処理ーフランスの例,01.10.11)。40万トンの肉骨粉が21のサイトに配分された。しかし、ストックは増えつづけている。毎週、新たに8000トンの肉骨粉が生じるからである。11月20日付けの「リベラシオン」紙は、この難問の解決策模索の様子を伝えている。これにより、肉骨粉処理をめぐるフランスの最近の状況を紹介しておこう。

 政府は、中心的焼却手段としてセメント化を考えたが、焼却能力をもつのはそれだけではない。鉄鋼工場、都市暖房会社、製紙工場、フランス電力-フランスガスも肉骨粉を焼却することができる。これらにより、家庭ごみの焼却施設に頼ることなく、毎日、300近くの焼却施設で3万トンを燃やすことができる。理論的には、十分に処理できるはずである。しかし、肉骨粉の危険性を恐れ、近隣住民の反対が強い。10月、全国電熱会社(Snet)の火力発電所燃料としての肉骨粉利用計画が漏れると、たちまち地方住民や議員の反対に出会った。鉄鋼工場、製紙工場への焼却要請にも反応がなく、結局、セメント工場だけが引き受けることになっている。

 21の倉庫のほとんどは、フランスの第一の畜産地帯である西部にあるが、そのうち16は、既に満杯になっている。新たなサイトを見つけねばならず、倉庫やサイロの所有者に入札の呼びかけがなされている。報酬は十分に魅力的で、必要以上の応募があるが、計画が漏れたとたんに政治家や住民が押しかけてくる。反対が非常に強く、肉骨粉保管倉庫としての承認を撤回する知事も現れている。

 代替策として、5000のコンテナへの貯蔵が計画された。これには少なくとも120万トンの貯蔵能力があり、2003年までは心配がなくなる。しかし、それ以後は別の解決策が必要になる。

 今年3月、環境・エネルギー制御局(Ademe)は「新たな熱処理工場の創設」を提案した。これにより、家庭ごみ、家畜糞尿、下水汚泥、動物生ごみなどと合わせ、肉骨粉も、エネルギー生産のために燃やされることになる。提案は産業にとって魅力的なもので、こうして生産された電力は一定の価格で買い取られ、処理された肉骨粉のトンあたりの援助もある。投資額は60億フランと高額になるが、30の企業が応札しており、これらの工場で140万トンの肉骨紛と33万トンの生ごみを処理することができる。そうなれば、肉骨紛の難問は解決される。

 Farines animales : des tonnes d'ennuis,Liberation,01.11.20

 

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