農業情報研究所


国:食品医薬局、狂牛病予防で供血ルール強化へ

農業情報研究所(WAPIC)

2001.8.28

 米国食品医薬局(FDA)は、訪英・訪欧者の血液から狂牛病の人間版である新変異型クロイツフェルト・ヤコブ病(vCJD感染牛から人間に感染するとされる)に感染することを予防するため、供血ルールの強化を提案した(FDAドラフト・ガイダンス」、Press Release。致死的なこの病気が血液を通して移るかどうかについては決定的結論が出ていないが、FDAはその可能性を排除できないとしている。

 現在は、1980年から1996年の間に6ヵ月以上英国に滞在した人が供血を禁止されているだけであるが、2001年5月31日までに実施される新たなルールの下では、1980−86年に3ヵ月以上英国に滞在した人は供血できなくなり、1980年以来フランスに5年以上滞在した人の供血も制限される。さらに2001年5月31日までには、1980年以来5年以上欧州に滞在した人の供血も制限されることになる。

 FDAの措置とは別に、米国の血液の半分を供給するアメリカ赤十字は、来年から1980年以後英国で3ヵ月以上、その他のヨーロッパで6ヵ月以上過ごした者の供血を拒否するという一層厳しい規制を実施する。これらの規制により、一定地域、特にニューヨーク市では血液不足が生ずるとの懸念も表明されているが、FDA当局者によれば、新ルールの下でも95%の人が供血可能で、血液を通しての狂牛病伝染のリスクは90%まで排除できるとしている。

 日本では、現在は1980−1996年に英国に通算6ヵ月以上滞在した者も供血を拒否している。

 米国がフランスやヨーロッパ全域の滞在者にも規制を広げるのは、vCJD患者が確認されているのは英国(5月現在100人)、フランス(現在までに3人)においてだけであるが、狂牛病そのものは、昨年来、EUによる検査強化により、従来は狂牛病に無縁とされてきたドイツ、イタリア、スペイン、ギリシャ、チェコでも確認され、EUで確認されていないのはオーストラリア、フィンランド、スウェーデンだけとなったことによる。

 関連報道
 FDA May Tighten Blood Donation Rules: Possible Exposure to Mad Cow Disease in U.K., Europe Cited,The Washington Post,01.8.28 
 U.S. Blood Ban Schedule Gives N.Y. Reprieve,The Washington Post,01.8.23,p.A13
 Americans fear British blood has CJD taint,The Times,01.8.23
 CJD alert brings safety check on blood supplies,The Guardian,01.8.23
 CJD transfusion risk 'tiny',BBC News Online,01.8.22
 関連ニュース
 米国:保健省、狂牛病対策強化を発表,01.8.24

 

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