EU:欧州議会、EUのBSE安全確保ルールの遵守を要請

農業情報研究所(WAPIC)

2002.2.25

 欧州議会がスウェーデン選出議員による「BSE危機の監視に関するレポート」を採択するとともに、以下の要請を行なった(Monitoring of the BSE crisis)。
 ●一定の構成国のEU規則実施の不適切と遅れに鑑み、欧州委員会は全構成国のルールの厳格な実施を検証し、違反の場合には厳しい罰を科すこと。
 ●検査は羊にも拡張すること。
 ●既存の肉骨粉やそれを含む飼料は廃棄され、廃水・脂肪のようなレンダリング廃物は加工処理されねばならないこと。また学校やレストランの食べ残しのような他の廃棄物は廃棄物として加工され、リサイクルされねばならないこと。
 ●最近のデンマークとフィンランドの例に鑑み、欧州委員会は子牛の飼料とBSEの関連性を十全に調査し、飼料がBSEに汚染されないように保証すること。
 ●一頭のBSEが確認された牛のすべての牛群を食料チェーンから排除すること。
 ●委員会の食料・獣医事務所(FVO)は、直前の通知により、また消費者の健康と安全性にリスクがある場合には事前の警告なしに、構成国の食料・飼料生産及びコントロール・システムの監視を行なう権限をもつべきこと。また、FVOのスタッフを増員すべきこと。
 ●検査すべき牛の月齢の24ヵ月以上への引き下げと危険部位のリストを獣脂に拡張すべきこと。

 これに対し、欧州委員会のバーン委員は次ぎのように応答した(Speaking Note of Commissioner Byrne on Olsson Report on BSE, European Parliament, Strasbourg, 5 February, 2002)。
 BSE危機以後、大きな前進があり、次のような重要措置が取られた。
 ●動物飼料における肉骨粉使用の停止。
 ●30ヵ月以上の健康な牛すべてと24ヵ月以上のリスクのある牛の検査の導入。
 ●特定危険部位のリストぼ拡張。特に脊椎と牛の腸全体を特定危険部位としたこと。
 ●反芻動物の骨からの機械的回収肉(肉が附着残存した骨を粉砕し、高圧で肉を篩いわけ、採集した肉)の禁止。
 その他、規則(法律)面では伝達性海綿状脳症に関する規則(No.999/2001)が採択され、2001年7月に発効した。動物副産物に関する提案についても前進があり(EU:農相理事会、動物副産物規則を採択、農業情報研究所)、配膳業廃棄物をどう扱うかが採集合意の主要な障害となっている。
 BSEの発生率は増加したが、その大部分は簡易検査(ラピッド・テスト)導入の結果である。構成国のサーベイランスは大きく改善されたが、実施面ではなお改善の余地がある。肉骨粉廃棄については、構成国は大きな困難をかかえている。羊のBSEに関しては、検査を増やすことを決めたばかりである。
 検査の24ヵ月以上の牛への拡張は、昨年の800万頭(30ヵ月以上の牛)の検査でBSEが確認された最低月齢は41ヵ月であったことから緊急性はないが、なお検討を続ける。構成国がBSE措置を十分に実行していないことに関しては、委員会は、近々、閣僚理事会と欧州議会に食料・飼料コントロールに関する提案を行なう。この提案は、基本的には構成国における監察システムを見直すことになる。その過程で、一層の罰則も含む強力な行動も提案する。違反やコントロール・システムに重大な機能不全がある場合の罰金の問題もそのなかで検討される。

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