農業情報研究所
フランス:羊の震え病根絶計画を提案
農業情報研究所(WAPIC)
2002.3.22
羊の震え病(スクレイピー)の影にBSE(狂牛病)が隠れているかもしれないリスクへの予防措置として、20日、フランソワ・パトリア新農水相が羊の震え病根絶計画を提出した(Prévention des EST : le Gouvernement lance un programme d'éradication de la tremblante,3.20)。先の食品衛生安全庁(AFSSA)の意見(ヨーロッパ:強化に向かう羊のBSEリスク予防措置,02.3.7)を受けたものである。
フランスでは、1996年以来、298頭が震え病に罹っている。今後、1頭の羊に震え病が発見された場合、同一羊群のすべての羊が血液採取による遺伝的検査を受けることになる。震え病に感受性のある羊はすべて廃棄され、飼養者は羊群更新のための補償ー繁殖雄羊1頭当たり457ユーロから762ユーローを受ける。同時に、この病気に抵抗性のある羊の遺伝的選抜により、今後何年かの間に、消費者の安全と農家の所得を保証する羊群の認定を可能にする。山羊については、1頭に発見された場合、単純に、すべてを廃棄する。
健康な羊については監視を強化する。すなわち、屠殺場または解体工場で事前通告なしに10万頭を無作為に抽出、牛のBSE検査に使われている検査を使って検査する。この措置により、現在の震え病の義務的通報制度への違反も抑制できる。
特定危険部位(脳など)に関しては、7月1日から、従来の12ヵ月以上の羊の脊髄を6ヵ月以上の羊の脊髄とすることを決めているが、これはフランスだけの一方的措置であり、EUレベルでの調和を「執拗に」求めている。また腸の禁止も求める。
羊肉の表示とトレーサビリティのシステムについても、牛肉にならって設置する。ただ、フランスの消費の6割までが輸入羊(主としてイギリスとニュージーランドから)であり、外国の羊の検査やトレーサビリティは難しい問題を提起する恐れがある。
関連報道
La France a lancé son plan d'éradication
de la "tremblante" du mouton,Le Monde Interactif,3.20
La tremblante du mouton peut trembler,Liberation,3.21