農業情報研究所


イギリス:食品基準庁、30ヵ月以上ルール見直しへ

農業情報研究所(WAPIC)

02.5.9

 イギリス食品基準庁(FSA)は、7日、30ヵ月以上の牛から得られる人間消費用の肉の販売を禁止するルール(OTM)の見直しをすると発表した(Press release:Agency to review 'Over Thirty Month Rule' BSE control,02.5.7)。

 このルールは、BSEの人間への伝達を防止するために1996年に導入されたものであるが、FSAは、2000年12月、イギリスにおけるBSEの全体的にみた減少や、やはり1996年に導入された飼料コントロールの強化(肉骨粉の全面禁止等)の影響に照らして、2002年にOTMルールを見直すように勧告していた。

 見直しは、公衆の健康へのリスクが増大することなくこのルールの変更が可能かどうかを検討する。FSA理事長(Chairman)は、「庁の第一の関心はBSEのリスクから消費者を護ることである。すべてのBSEコントロールとともに、このルールは公衆の健康を護るために必要とされる限り、維持されるべきである。しかし、最新の科学的証拠に照らして我々のリスク評価とリスク管理を更新するのは正当なことである。我々は最高の専門家たちからのアドバイスを求めるだろう」と発言している。

 FSAと海綿状脳症諮問委員会(SEACーBSE問題に関する独立した専門家の科学的アドバイス政府に与える)のリスク評価グループが見直しのための科学的意見を提供する。SEAC委員長のピーター・スミス教授がこのグループの議長を務め、このグループのリスク評価がSEACにより考慮されることになる。FSAは二つの公聴会を開く。一つは見直しについて関係者から見解や懸念を聴くもので、もう一つは見直しから生じる変更のための提案について協議するものである。勧告は庁理事会に提出され、理事会の決定が政府へのアドバイスの基礎になる。

 見直しは、イギリス原産の牛肉に適用されるOTMルールについて、ルール修正のための選択肢の科学的リスク評価、その実行(執行)可能性、関係者の意見を考慮するが、輸入牛肉からくるイギリスの消費者リスクへの影響も考慮に入れる。30ヵ月以上の牛からの輸入牛肉の人間消費向け販売も、従来、BSEリスクが低いいくつかの国からの輸入肉を例外として、禁止されてきた。

 なお、特定危険部位のコントロールなど、その他のルールは見直しの対象をなさない。

 関連ニュース
 Food agency will review measure to control BSE,Finaqncial Times,2.8,p.8

 関連情報
 イギリス:新たなBSEの発見、コントロール緩和の希望を打ち砕く(農業情報研究所、02.2.8)

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