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イギリス食品基準庁、牛の扁桃にBSE感染性発見と発表

農業情報研究所(WAPIC)

02.10.21

 イギリス食品基準庁(FSA)が牛の扁桃に狂牛病(BSE)感染性が発見されたという暫定的研究結果を発表した(BSE infectivity found in bovine tonsil,FSA,10.17)。新たな検査は、従来のマウスを使った試験の数百倍の感度をもつと考えられ、BSE感染牛の様々な組織を健康な牛に注入するものである。5頭の牛のうちの1頭が、感染牛から採取された扁桃組織サンプルの注入して45週間後にBSEになった。FSAは、潜伏期間が長いことから、扁桃の感染性のレベルは低いだろうとしている。

 牛の扁桃組織は、従来のマウスによる試験では感染性を示さなかった。しかし、予防的措置として、一定月齢以上の牛の扁桃はEUレベルの立法で特定危険部位(SRM)に指定されている(日本では扁桃はSRMとされていない)。 

 今回の発見で改めて問題となるのは、SRMに指定されていない「舌」に扁桃が附着して食用に供される可能性である。FSAは、現在の慣行の限定された研究では、人間消費用に調整された舌に扁桃が残っているようにはみえないという。しかし、FSAは舌が取り出される方法の評価を計画、特に微量の扁桃組織が不注意で舌に含まれる可能性があるかどうかを調べる。その結果は海綿状脳症委員会(SEAC)により考慮されるべきリスク評価の一部をなすことになり、その評価に従ってさらなる予防措置が必要かどうかの決定がなされる。

 FSAはこの発見と調査計画を欧州委員会に伝える。