国連食糧農業機関(FAO)、BSEで死亡牛全頭検査を勧奨

農業情報研究所(WAPIC)

04.1.14

 国連食糧農業機関(FAO)は12日、米国でのBSE発生を受け、各国にBSE予防措置の一層厳格な実施を要請する声明を出した(BSE controls in many countries are still not sufficient)。「多くの国では、BSEのコントロールはなお不十分で、多くの国は勧告された措置を適切に実施していない。動物飼料と動物産品の世界的貿易を考慮すれば、感染物質のさらなる持ち込みの相当大きななリスクもある」と警告している。

 具体的には、農用動物、少なくとも反芻動物への肉骨粉給餌の禁止、飼料工場での交差汚染の厳格な回避、特定危険部位の除去と廃棄、レンダリング産業における異常プリオン不活性化措置の確保、[通報を待っての受身のではなく]能動的サーベイランスと個体識別・トレーサビリティーの実施、機械的回収肉(先進的回収肉を含むかどうかは不明)の禁止などの最低限の予防措置を徹底することを求めたもので、特に新味があるわけではない。

 ただ、「BSEが存在しないという主張は、それが国際的に認められたサーベイ方法を通して裏付けられないかぎり、いかなる国も行なうことはできない」とし、各国政府と産業に対し、適切なリスク評価を行うことを要請した上で、検査に関して国際獣疫事務局(OIE)の基準を満たすだけでなく、「日常的な屠殺以外で死んだか、殺されたすべての動物の追加検査」を行うべきだとしている点が注目される。さらに、消費者の信頼を得るための措置として、BSEが存在すると分かっており、コントロール措置が厳格に適用されてこなかった場合には、一層広範な検査が要請され、「30ヵ月以上のすべての屠殺牛の検査が消費者の信頼を強めるための措置となる」とも言っている。これらの点は、米加のみならず、オーストラリアのような「未発生国」にもBSEコントロールの見直しを迫るものと解することができるかもしれない。米国産種牛を輸入してきたのだから、米国でBSEが発生した現在、オーストラリアさえBSEとまったく無縁とは言い切れなくなった。

農業情報研究所(WAPIC)

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