FDA、BSE飼料規制強化を大統領選後まで延長の観測ーN.Y.タイムズ

農業情報研究所(WAPIC)

04.9.28

 ニューヨーク・タイムスの報道によると(Agencies Postpone Issuing New Rules Until After Election,The New York Times,9.27)、米国食品医薬局(FDA)は、BSE拡散防止のために提案し、速やかに実施すると言っていた飼料規制強化(参照⇒米国FDA、BSE感染防止ルール強化を発表、なお抜け穴、実施も何時のことか,04.7.10)を大統領選挙後まで延期することになりそうだ。

 全米牛生産者牛肉協会(NCBA)は飼料規制強化に強く反対、新たな拡大検査計画の結果を待ってどうするか決めればよいとしてきた。しかし、この延期は飼料規制だけでなく、食品安全・環境から企業統治・電気通信政策まで、広範な分野の新たな規制にかかわるという。

 商業会議所、牛・飼料産業、4つのベル電話会社、大規模ヘルスケア業者、木材・鉱山関係者などの産業団体の強力な圧力活動で、政府官僚機構全体が腰砕けになった。これら団体は、ブッシュ再選後ならば、規制はずっと緩いものになると考えている。NCBAも中立の伝統を破り、今夏以来、ブッシュ再選に向けて選挙運動を強化してきた。その成果が出たということだろうか。

 米国牛肉産業は、大部分の輸出が止まっても絶好調、カナダからの輸入停止もあって牛肉不足さえ心配されており、多大なコストをかけてまで輸出再開を急ぐ雰囲気はない。ところが、日本国内では、消費者の反発を恐れる一部慎重派を、ブッシュの大の仲良しや対米外交最優先派が引っ張り、大統領選前の米国牛肉輸入再開決定を急いでいる。だが、それでは、最も基本的な安全対策である飼料規制の行方も分からないままの決定となる。かれらも、安全、消費者よりも、ブッシュ再選のほうが大事らしい。「改革」政府の正体はこんなところだ。