カナダ農相、豚・鶏飼料への特定危険部位使用の早急な禁止を表明

農業情報研究所(WAPIC)

04.10.5

 カナダ・CBCが入手した文書によると、カナダ食品検査局は多数の農場の牛が豚・鶏用の飼料を与えられていることを発見していた。10月2日付のCBCニュースは、この飼料がBSE感染牛の特定危険部位入り肉骨粉を含んでいた可能性があると報じている(BSE-infected cow may have gotten into animal feed,CBC News,10.2)。CBCのリポートに応え、連邦農業相は、牛の脳・眼・背骨のすべての動物飼料への利用を禁止するルールがすぐにも発表されると語ったという。

 カナダ連邦政府は97年、牛の肉骨粉を他の牛に与えることを禁止したが、豚・鶏の飼料やペット・フードへの使用は許してきた。CBCが伝える実態は次のようなものだ。

 昨年5月に国産牛初のBSEのケースが確認されたが、このときまでに、この牛は既に飼料に加工されていた。検査局はこの飼料が1,800の農場に売られたと推定、調査を開始した。200の牛飼育所を訪ね、牛がこの飼料に曝されたいくつかのケースを発見した。三つの牛農場が検疫を受け、63頭が処分された。検査官は、鶏と牛の飼料の交叉汚染がしばしば起きていることも発見、農民も日ごろ鶏の飼料を牛に与えていることを認めた。

 脳などの特定危険部位は1rでもBSEを発症させるという最新の研究からすれば、これではカナダのBSEリスクは相当に高いといわざるをえない。昨年6月、国際専門家調査団は特定危険部位の動物飼料への利用を禁止するように勧告したが、検査局は関連業界と協議するのみ、何の措置も取っていない。今年7月には、ペット・フードも含むすべての動物飼料から特定危険部位を除去するという飼料規制強化案を発表した(CANADA TO ENHANCE BSE FEED CONTROLS)。しかし、米国同様、これも未だに実施に至っていない。農相の発表も、どこまで信用してよいのだろうか。

 ともあれ、交叉汚染が単なる可能性ではなく、現実的なものと確認されたのならば、カナダのBSEが1頭にとどまるなどという希望的評価は吹き飛んでしまうだろう。

 関連情報
 カナダ:専門家報告書、BSE存在のリスク確認、危険部位排除勧告,03.6.30