カナダ:専門家報告書、BSE存在のリスク確認、危険部位排除勧告

追記(03.7.1):OIE専門家、日本のカナダに対する輸出牛検査要求は正当化できない

農業情報研究所(WAPIC)

03.6.30

 カナダにおけるBSE発生を受けての専門家国際監視チームの調査の結果が報告された。それは、カナダとそれを超えた(beyond)ところでの「BSEの存在のリスク」を確認し、特定危険部位の除去や監視の拡充など、BSE拡散防止と人間の健康保護やBSE発生の発見のためのシステムの大幅な改善を勧告した。これはカナダのみならず、米国に日本にも既存のリスク管理手段の見直しを迫るであろう。

 足元を見ず、外国の禁輸解除に躍起のカナダ

 カナダで土着牛と見られる牛に狂牛病(BSE)が発見されてから1ヵ月以上過ぎた。発見直後から、カナダ当局は感染牛が過ごした場所とその子の行き先、牛の化成処理(レンダリング)製品(肉骨粉)が消費された可能性がある場所、牛が生涯に消費した可能性のある飼料を洗い出し、この牛を取り巻く疫学的リスク要因を徹底的に調査した。調査の対象となった農場は18、牛は2,000頭にのぼった。1,500頭が殺され、脳の検査を受けたが、BSE陽性の牛は1頭も発見されなかた。この調査をほぼ完了したのが6月9日、当局は、厳格で完璧な調査の結果、カナダにおけるBSE発生はこの1件に限られ、この国に設けられていたシステムはBSEの存在の発見とその拡散の防止のために機能してきたと確信できると発表した(Canadian Food Inspection Agency Animal Products Animal Health and Production Division)。

 以後、カナダ政府の重点目標は、カナダ産牛・牛肉・牛製品の輸入を停止した米国・日本・韓国など20ヵ国ほどの国々に対する禁輸解除に移った。しかし、禁輸解除に向けての動きは、今までの所、まったく見られない。最大の輸出先である米国も、この1頭の感染源が特定されておらず、他の牛に感染がないとは確認できないとして、禁輸解除を延ばしている。カナダ中央・州政府や関係業界は、これらの国が「科学的根拠」もなく禁輸を続けていると、攻撃的トーンを強めてきた。つい先頃も、バンクリーフ農相は、全頭検査に典型的に見られるように、国際獣疫事務局(OIE)の基準を超える行動は他の貿易相手国にも類似の行動を取らせる恐れががある、「決定は科学に基づいて正当化されねばならない」と日本を標的とする批判を行なっている(Canada Warns That Mad Cow Measures Could Backfire,Reuters,6.25)。

 日本が標的にされたのは、日本の現在の「全頭」検査は感染があったとしてもほぼ確実に発見できない24ヵ月未満の牛まで対象としているのだから、ある程度は仕方がない。日本のこの「決定」は、現在の検査「技術」に限界があるという事実を無視しており、おまけに、一部の人々はそれで牛肉の安全が確保されるという「科学的」に立証できない主張さえしている。しかし、だからといってカナダの牛肉は安全という主張が「厳格で完璧な」調査によって「科学的」に立証されたわけでもない。いかに広範で、包括的な調査とはいえ、調査されたのは12万余りの飼育場と1,280万の牛(2000年)のごく一部にすぎないし、上記のとおり、現在の検査では病気が潜伏期にある感染牛は発見できないからである。

 しかし、ここでの問題は、政治家や関係業界が都合のよいように使う「科学」の問題ではない。遺伝子組み換えやBSEのような「科学的」解明が不完全な問題では、現在までの経験的・理論的知見を総動員してあり得るリスクを予測、予想されるリスクが重大なものならば、「予防原則」に従った対応を決めるしかない。それが「BSE先進国」・ヨーロッパの対応であったし、それが正しい対応であろう。カナダは(そして米国も)、BSE対応のこのような基本原則を理解していなかった。BSEが発生するまで、「科学」盲信の誤りは改まらないだろうと思われた。ところが、BSEが発生してさえ、カナダは、なお「科学」の名で自己の正当性を主張し続けた。しかし、少なくともBSEに関しては、カナダもようやく年貢の納め時がきたようだ。6月7−9日、カナダの調査に入った国際監視チーム(米国、ヨーロッパ、ニュージーランドの専門家で構成)が厳しい一撃を加えたからである。

 専門家国際監視チームの報告書:カナダとそれを超えてBSEが存在する恐れ

 カナダ農業食糧省は、6月26日、この監視チームの報告書を公表した。この報告書は、カナダ当局が短期間に実施した包括的な徹底した調査を称えた。しかし、カナダ政府にとって都合がよいのはそれだけだ。報告書は、カナダの調査を逆手にとって、カナダ専門家は、今回のBSE発生が、この牛の生涯の早い時期の飼育(給餌)システムを通じて感染性物質にさらされたことに関連している「プロバビリティー」を支持する疫学的証拠を確認したと言う。1997年の禁止以前、この牛を含む牛群の牛が反芻動物肉骨粉(MBM)を含む飼料を合法的に与えられた機会があり得る。汚染MBMが輸入されたものか、国内起原のものかは決定できない。「それが陽性の牛から来た可能性、潜伏後期の他の感染牛がカナダの牛群に存在する可能性は、将来の[感染源への]暴露を減らし、あるいは排除するための追加措置の採択が正当化されるという結論に導く」と言う。

 BSE発生を受けてカナダが行なった包括的で多数の牛の犠牲を伴った調査は、2001年より前には義務的個体識別システムがなかったことから必要になったもので、カナダ政府が自慢するようなものではなく、本来ならば無用のものだとさえほのめかす。この調査により得られた情報の質と広がりを考えると、このような調査を続けても公衆または動物の健康の保護に役立つ結果は得られそうもないとはっきり言う。こんな調査は切り上げて、焦点を短期的・中期的な政策調整に向け直すべきだというのである。報告書は、「調査は過去の暴露があり得ることをはっきりと確認したのであり、カナダとそれを超えたところの牛群にBSEが存在するリスクに取り組む必要性を明確にした」と結論する。つまり、カナダとそれを超えたところ(具体的には、主に米国を指すであろう)にはBSEが存在するリスクがあることを認め、それに応じた措置を取らねばならないというのである。

 こうして、監視チームは、

 (1)消費者保護のための公衆保健リスクの軽減、(2)病原体のリサイクルと増殖のさらなる制限、(3)サーベイランスを通じての措置の有効性を測る基準の策定、(4)将来の外国からの偶然のBSE侵入の防止、(5)病気の世界への拡散の予防への寄与、を目的とする次の措置を優先して講じるように勧告した。

 1)特定危険部位(SRM)の禁止(安全な除去・収集・破壊の計画の即時開発、SRMが人間の食料と動物の飼料に含まれないように保証する措置の実施と監査、この措置のタイムリィーで全国的実施の優先、屠殺と加工の間のSRMによる汚染の回避のための追加措置)。SRMの範囲としては、科学と実際的可能性を考慮して定められる月齢の牛の脳・脊髄・三叉神経節・背根神経節・回腸遠位部・扁桃を例示している。

 2)機械的回収肉(骨ごと粉砕して附着した肉を篩い分け・取り出した安価に販売されるミンチ肉)または先進的回収肉(先進的食肉回収システムにより生産される肉で、機械的回収のように骨が圧搾・粉砕されないといわれる)の原料からの感染性組織を含み得る組織(頭蓋、脊椎)の排除[頭蓋からの回収肉は脳や眼が除去されたとしても日本ではSRMに指定されていない三叉神経節を含む可能性があるし、脊椎からの回収肉は、やはり脊髄が除去されたとしても背根神経節を含む可能性がある。後者は、1996年以前のイギリスにおける人間の変異型クロイツフェルト・ヤコブ病(vCJD)を引き越した有力な要因ではないかと疑われているー筆者=農業情報研究所・北林注]、

 3)サンプリング・検査計画によるSRMと回収肉の食品からの排除の保証、

 4)リスクの高い牛(病気及び死亡成牛、症候を呈する牛)に焦点を当て、理想的にはこれらの牛すべてを対象とする検査、特定地域・時期のリスクある群の確認とこうした群を定めるための的を絞った検査などによるサーベイランスの拡充、

 5)反芻動物由来の肉骨粉(MBM)とその他の哺乳動物由来のMBMの区別が難しいことを考慮したうえでの飼料からのSRMの排除、反芻動物飼料成分に反芻動物由来のMBMが含まれるのを避け・混入の可能性も排除(これが反芻動物への哺乳動物MBMの禁止の導入で保証されるかどうかも評価)、多種の動物が飼育される農場レベルでのリスクの軽減のためにのあり得る混入を避けるシステムの実施と遵守状況の監視、

 6)3年前から始めた識別とトレーサビリティーのシステムの改善と拡充、 

 7)グローバルなリスクの検討を続け、外国製品が国内での健康保護と同等な基準を満たすように保証する輸入政策。哺乳動物MBMを含み得るフィッシュミールや鶏ミールも検査、

 8)BSEがさらに広がらないように保証するための輸出政策の再評価。

 9)病気に関する生産者・獣医・飼料及び屠殺産業従業員・その他関連産業の徹底した啓蒙、

 10)リスク・コミュニケーションの継続と強化、

 11)BSE発生の際の将来の調査は発生国の経験を基に、もっと制限されたベースで行なう。屠殺処分の決定は、動物が食品として利用されるのが禁止されているかぎり、疫学的調査の完了まで待つことができるし、屠殺処分政策は、国際獣疫事務局(OIE)の国際動物保健コードの最新のBSEの章に従う、

 12)これら新たに導入されたり、修正される措置は明確で十分な実効の指標をもち、これらを守らせ・検証する濃密な活動で支えられねばならない(文書検証だけでなく、現場チェックや試験所の分析、州のコントロールは中央が監督)。

 13)病気の調査・監視システム・感染症分析・政策検討に不可欠な獣医インフラストラクチャーの強化、

 報告書は、これらの実施が中央・州政府、生産者、消費者、産業、獣医の協調・協力を必要とすると強調している。

 報告書の含意とカナダの対応:受け止め方は分裂

 この報告書の最も重要な含意は、カナダとそれを超えて(名指しはされていないが、最も可能性が高いのは米国)BSEが存在するリスクを確認したことである。カナダ自身の調査は、まさにこの確認を可能にしたことで称賛されているのである。これは、感染は1頭に限られるとしてきたカナダ当局に深刻な反省を迫る(はずの)ものである。報告は、「潜伏後期の他の感染牛がカナダの牛群に存在する可能性」をはっきりと指摘した。同時に、特定危険部位の排除、万全の飼料混入防止策、個体識別・トレーサビリティーの改善と拡充などを勧告したことは、カナダ政府の主張とは反対に、既存のシステムが「BSEの存在の発見とその拡散の防止のために機能して」「こなかった」ことを意味する。

 マスコミ報道によると、ヴァンクリーフ農相は、「どのような特別の措置が、何時取られるか確かではないが」、「これら政策[報告書が勧告した政策]の可能な限り迅速な見直しを、また必要ならば変更を決意した」という(Agriculture Minister welcomes mad-cow report,The Globe and Mail,6.27)。ようやく事の重大性に気づいたようである。彼は、「我々は、これらの多くの変更は複雑であり、州・産業・貿易相手との協調を必要とすることを実感せねばならない。我々はできるだけ迅速にこれを行なう」とも語ったという。しかし、実際にはこれがどれほど迅速に、またどこまで進むかは不透明である。

 同じ報道によると、カナダ・キャトルマン協会のネイル・ジャンケ会長は、報告がカナダの他の牛は牛の飼料に反芻動物の部位を使うことを禁止した1997年以前に汚染飼料を食べることでBSEに感染した可能性があると言っている言い、若い牛にはリスクはないと解釈している。従って、30ヵ月以上の牛やステーキ・ローストなどの肉は禁輸が解かれてしかるべきと、なお輸出解禁を主張している。報告は、確かに、発見された感染牛が1997年以前の飼料から感染した可能性を指摘している。しかし、報告がその後の感染の可能性も否定していないことは、勧告の趣旨からしても明らかである。アルバータ州農相のシャーリィー・マックレランは、報告にはこのような製品の禁止の解除の前触れになる要素はまったく含まれていない、報告と勧告は、多分、完全な国境開放の条件を述べているのだと解釈している。

 このように、報告自体の受止め方が分裂している。見直しと変更、その実施には広範な関係者の「協調」と「協同」が必要とすれば、その実現には多くの時間がかかる可能性がある。

 米国にとっての報告書の意味:カナダ同様の措置の必要性を示唆

 報告は、名指しはしていないもののの、米国にもBSEが存在するリスクを示唆している。これは、カナダと米国の市場が一体化しているのだから、決して根拠のない推論ではない。米国のBSEの存在の発見とその拡散の防止のための既存システムがカナダと大同小異であることを考えると、報告の勧告は、米国にも適用されるべきことを示唆するであろう。米国ではBSEが発見される率が高い病牛・死亡牛などの「リスク牛」が年間19万頭発生するとされているが、検査されているのは5千頭(2001年6月から)に過ぎない。2002年、このような牛がBSE陽性とされた率は、ドイツでは検査された牛5,159頭につき1頭、イタリアでも6,794頭に1頭であった。年間5千頭の検査では、ドイツ、イタリア並みのBSE発生があったとしても1頭も感染が発見されない恐れがあるということである。

 先に引用した報道によると、米国とカナダの牛産業は高度に統合されており、動物は国境を超えて規則的に取引され、カナダはその生きた牛の70%を米国に販売している。先のジャンケ氏は、カナダの産業でなされる変更は米国でもなされねばならない、市場が統合されているのだし、今後もそうあるべきだから、我々がこの国でなすことは米国でもなされねばならないと言っているという。

 この報告に対する米国当局の公式反応はまだ出ていないようである。現状は、日本や韓国が要請している米国産牛であることを確認するためのトレーシング・システムの設置の検討に入ったばかりであり(USDA Plans Livestock Tracing System,AP,6.27)、仮に報告が何らかの反応を呼ぶとしても、システム変更にはカナダと同様な、あるいはもっと多くの時間が必要であろう。しかし、米国にもBSEがあり得るとすれば、SRMを除去しない牛肉や牛製品、回収肉から来る人間の健康のリスクは、もはや無視できない(回収肉原料からの中枢神経組織の排除は検討はされているが、未だ法制化に至っていない⇒米国:BSE防止対策の進展状況、検査3倍増,03.01.18)。米国の対応は注意深く見守る必要がある。

 日本にとっての含意:米国牛肉からのリスクと既存システムの見直しの必要性

 報告書の米国にとってのこのような含意は、ミンチ肉も含めた大量の牛肉を米国から輸入している日本にとっても重大な含意があることを意味する。日本は、カナダからの牛肉輸入を一時停止したが、米国に対しては米国産であることの確認を求めているだけである。これに対する米国の解答は9月まで待たされている。しかし、米国にもBSEが存在するリスクが認められれば、この要求自体が意味をなさない。米国もカナダと同等に扱うのが本筋である。しかし、それは政治的・経済的損失が大きすぎて、米国で実際にBSEの発生が確認されない限り、とても実行できないであろう。どうすればよいのだろうか。

 EUは独自のBSE地理的リスク評価に基づき、カナダや米国はBSEは「ありそうもないが、存在の可能性を完全には否定できない」国に分類、EUへの輸入には特定危険部位(SRM)の除去を義務付けてきた。それは、米国通商代表部が毎年発表する外国の貿易障壁報告書でも不当な慣行として槍玉に挙げられている。米国牛肉産業は、SRMの除去は多大なコストを伴うと反対している。しかし、僅かでもあり得るリスクがもたらす結果(致死的病気への感染)の重大性に鑑み、最低限、EUと同等の規制を課すのが最善の選択と思われる。EUは、SRMの除去を義務付けることで、全面禁輸の措置は取っていないし、カナダのBSE発生によっても、当面はこの政策の変更の必要はないとしている。これは、リスクを軽減し、コストを最小限にするバランスの取れた政策であるように見える。

 ただ、日本政府は食用に供される牛のBSE検査を安全確保の切り札としてきたために、日本では他の安全確保策が相対的に軽視される傾向があるように思われる。カナダに対する国際監視チームの勧告が、最優先されるべき安全確保策としてSRMや機械的回収肉の規制を挙げ、「全頭検査」には一言も触れていないのと対照的である。再三指摘してきたように、現在の検査には潜伏期の感染牛を発見できないという限界があり、それは安全を保証する手段とはなり得ない。リスクを最小限にするための最善の方法はSRMを食品と飼料から確実に排除することである。国際監視チームの勧告は、このような国際的常識に則ったものである。しかるに、日本の農相は、米国に対して、安全確保のために日本のような検査の導入を勧めたという。

 この報告を契機に、日本は、既存のリスク管理システムを根本的に見直すべきかもしれない。その際、最優先されるべきは、米国に対しては、SRMの排除を要求、それが実現するまでは、日本が輸入品にSRMが附着していないかどうかを厳重に検査することである(ただ、ミンチ肉ではこれは難しい)。この検査は国産品についても強化すべきかもしれない。ヨーロッパでは、特に厳重な検査体制をもつイギリスでは、脊髄の附着した肉がたびたび発見されている。日本は本当に大丈夫なのか。

 明日、食品安全委員会が発足する。ここで指摘した問題は、できるだけ早期に取り上げてもらいたい。特に米国牛肉の問題は、いざ米国にBSEが発生した場合、現状では収拾がつかない大混乱を引き起こす恐れがある。それを回避するためにも、的確なリスク評価とバランスのとれたリスク管理をできるかぎり早期に準備する必要がある。米国でBSE発生が確認された場合、現状ではカナダへの対処に倣い、米国牛・牛肉・牛製品の輸入を禁止することになるであろう。しかし、それでは政治的・経済的影響が大きすぎる。禁輸措置に代わる何らかのリスク管理措置を取らざるをえない(カナダに対しても同様に)。そのとき、日本流に「全頭検査」を要求するのだろうか。OIEも要求しないこのような措置を両国が受け入れるはずがない。国際監視チームがカナダに勧告したように、SRMの禁止や機械的回収肉の規制を要求するのが混乱を回避する最善の手段と思われる。

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 追記(03.7.1):OIE専門家、日本のカナダに対する輸出牛検査要求は正当化できない

 ロイター通信が伝えるところによると、カナダのBSE調査団の一員であった国際獣疫事務局のウルリッヒ・キムが、輸出向け牛すべてのBSE検査をせよというカナダに対する日本の要求は科学的に正当化できないと語った。彼は、OIEとWTOの加盟国は、自国の基準がより高度である場合にも、国際ルールには従わねばならず、他国にこのような基準を強制してはならないと語ったという。OIEは科学的知見が制約された分野では衡平の問題と信頼できる科学的データを考慮しているとも付言した(Japan Stand on Canada Mad Cow Not Justified-Expert,6.30)。