オランダ、80年以後に輸血を受けた者の献血禁止へ、vCJD拡散予防措置

農業情報研究所(WAPIC)

04.12.13

 ロイターの報道によると、オランダ保健省が9日、1980年以後に輸血を受けた者すべての献血を禁止すると発表した(Dutch Curb Blood Donation Due to Mad Cow Link,10.9)。昨年末以来、英国で、献血時にはそうとは分からなかったvCJD(BSEの人間版とされる変異型クロイツフェルト・ヤコブ病)患者の血液を輸血されてこの病気に感染したと見られる二つのケースが見つかった。オランダでは、今までに80頭近いBSEのケースが発見されているが、vCJD患者は一人も出ていない。だが、仮に一人でも感染者がいれば、この感染が発見されることなく、献血を通して何十人、何百人、何千人もの人々に感染を広げることになる恐れも否定できなくなった。そのために、今までは、日本と同様、1980年以来英国に6ヵ月以上滞在した人の献血を禁止してきたが、この予防的措置を英国並みに強化するという。これにより献血者の8%ほどが影響を受ける。血液不足を補うために、新たな献血奨励運動を進める。

 わが国ではどうなのか。vCJD患者が一人も確認されていないのはオランダと同じだ。ただ、食品安全委員会という権威あるリスク評価機関が、わが国でのvCJD発生数は、最大に見積もっても0.861人、つまり一人も発生しないとお墨付を与えている。予防的にも、オランダ並みの措置を取る理由はったくないということになるのだろう。こういうリスク評価機関を持って幸せと言うべきか、不幸と言うべきか、筆者には断言しかねる。

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