カナダ、飼料成分の顕微鏡分析を評価 フィードバンの有効性の検証に限界

農業情報研究所(WAPIC)

05.2.3

 カナダ食品検査局(CFIA)が7日、飼料成分分析の手段としての顕微鏡分析の評価の結果を発表した(National Feed Inspection Program 2003-04Report - Assessment of Microscopic Analysis as a Tool for Analysing Composition of Feed)。先月11日にBSE感染が確認された牛は、大部分の哺乳動物蛋白質を反芻動物の飼料から排除する97年8月の「フィードバン」以後に生まれた牛で、フィードバンの有効性の検証が喫緊の課題となっている。

 飼料検査はそのための基本的手段であるが、飼料中に禁止蛋白質が含まれるかどうかを的確に見分けられなければ、フィードバンの有効性の検証の手段となり得ない。CFIAは、この点に関して、顕微鏡検査がどこまで有効かを調査したものだ。その結果、顕微鏡検査では禁止蛋白質かどうか見分けのつかない動物蛋白質を含む多くの飼料が発見され、一部は飼料を扱う施設が反芻動物用に専用化されているかどうかなど、施設の「物理的検査」や保存された記録で禁止物質を含まないと結論できたが、禁止蛋白質が含まれる可能性を最後まで否定できないサンプルも残った。そうであれば、どうやってフィードバンは有効と実証できるのだろうか。

 CFIAは、04年1月から3月の間に、この検証のための110の飼料サンプルを集めた。うち65は国産飼料、45が輸入飼料から集めたサンプルだった。顕微鏡検査で、国産品49、輸入品18のサンプルから動物蛋白質が発見された。

 この国産品サンプル49のうちの22については、禁止蛋白質を扱わない施設からのものであることがサンプル採取前の検査報告で確認され、禁止物質を含まないと結論できた。しかし、禁止蛋白質を扱うと同時に反芻動物飼料も製造している施設からのものについては、このような結論ができない。そこで、フォローアップ検査により、さらに16のサンプルが禁止物質を含まないと決論された。しかし、残り11サンプルについては、禁止蛋白質が含まれる可能性を排除することができなかった。これらサンプルが採取された施設には改善が要求され、一施設は操業を停止した。

 動物蛋白質が発見された18の輸入品サンプルについては、このような事前・事後検査の手段が取れない。輸入業者に結果を伝え、外国の供給者から追加情報を取るように要求したという。

 とすると、少なくともこのような措置が取られる前については、有効なフィードバンは主張できないはずだ。

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