米国農務省 BSE2例目の出自牛群確認を発表 擬似患畜追跡と感染源調査へ

農業情報研究所(WAPIC)

05.6.30

 米国農務省(USDA)クリフォード獣医主任が29日(現地時間)、先週BSEと確認された牛の出自牛群をDNA検査で確認したと発表した(http://www.aphis.usda.gov/lpa/issues/bse/BSE_statement6-29-05.pdf)。この牛の所有者から受け取った情報によると、この牛はテキサスの牛群で生まれ・育てれられたおよそ12歳の牛という。この牛はテキサスの3D/4D(死亡牛、ダウナーカウなど、食用向けでない牛の処理施設)ペットフード工場に送られ、到着時に検査対象に選別された。

 この牛群は、牛群内の関係する牛(擬似患畜)を特定するために、現在拘束下に置かれいる。主任によると、OIEの指針に従い、関係する牛には、患畜と同じ年に生まれた牛と前後1年の間に生まれた牛が含まれる。もし牛の年齢が特定できない場合、1997年のフィードバン以前にこの牛群にいたすべての牛に調査を拡大する。また、最近2年以内に生まれた患畜の子すべてにも関心を持っているという。しかし、この牛が12歳の高齢であることを考えれば、ほとんどの擬似患畜は既に食べられてしまっているだろう。

 感染源については食品医薬局(FDA)と共同してこの牛群における飼育暦を決定する努力をする。牛の年齢から考えて、97年のフィードバン実施前の飼料を食べることで感染した可能性が最も高いという。だが、フィードバン以後ならばともかく、それ以前については何の記録も残されていないだろうから、これもうやむやになるだろう。ただし、フィードバン以後の順守状況の調査で違反が発覚すれば、最近の感染であった可能性も出てくる(この高齢で「感染のレベルは低かった」というのだから、その方が辻褄が合いそうでもある。ただし、EUでも12歳以上の牛の陽性が相当数確認されているから、これはあまり当てにならないー2003年のEU15ヵ国の検査で陽性が確認されたもののうちの6%、76頭が12歳以上の牛だった⇒http://europa.eu.int/comm/food/food/biosafety/bse/annual_report_tse2003_en.pdf)。

 DNA検査の詳細については、29日の記者会見で、クリフォード主任が、検査サンプルそのもののDNA検査と、出自牛群の牛の血液のDNA検査を行ない、既に焼却された患畜と「決定的に関係した牛2頭を発見した。これらの牛は患畜の子か、母であったであろう」と述べている(http://www.usda.gov/wps/portal/!ut/p/_s.7_0_A/7_0_1OB?contentidonly=true&contentid=2005/06/0235.xml

 同時に発表された動植物保健検査局(APHIS)の「ファクト・シート」(http://www.usda.gov/documents/FactSheetbse062905.pdf)では、「この牛は他の4頭と同時にサンプルされ、と体の部位が一緒に保管されたために、USDAは出身州を発表する前にDNA確認検査を行なうことを決定した」と述べる。この牛から取られた検査サンプルが他の4頭の牛からのものか見分けがつかなくなったということのようだが、その理由については説明がない。記者会見でもこれに関する質問はなかった。、

 この牛が4州を渡り歩いたという話しもあったが、これも間違いで、やはりクリフォード主任が、この牛は生まれも育ちもテキサスのこの農場、全生涯をここで送ったと確認している。しかし、この農場の場所については、検査計画で発表しないことになっていると、明らかにしていない。

 なお、「一つの牛群で1頭以上にBSE発見されるのは非常に異例」と言うが、EUの2001-04年検査結果では、擬似患畜の検査で陽性となる率は、健康な牛に比べて10倍程度となっている(⇒欧州諸国のおけるBSE検査結果)。

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