カナダ フィードバンと人間食料からの特定危険部位除去義務への違反に罰金刑導入

農業情報研究所(WAPIC)

05.7.6

  カナダ食品検査局(CFIA)が7月5日、BSE(牛海綿状脳証)の拡散を防止するためのセーフガード・システムを強化するために、新たな罰金制度を実施すると発表した。今後は、CFIAの検査官は、反芻動物蛋白質の 反芻動物への給餌を禁じるフィードバンと、人間用の食料製品から特定危険部位(SRM)を除去せねばならないという二つの中心的措置への違反に罰金が科すことができる。新たな罰金制度は、BSEを疑われるか、実際のBSEのケースの報告を怠った場合に は罰金を科すことができるという以前からある制度を補完するものという(CFIA News Rekease:CFIA TO IMPLEMENT MONETARY PENALTIES REGULATIONS FOR VIOLATIONS OF BSE SAFEGUARDS,7.5;http://www.inspection.gc.ca/english/corpaffr/newcom/2005/20050705be.shtml)。

 アンディ・ミッチェル農業・農産食料相は、「カナダは、[BSE病原体への]暴露の可能性、牛集団内のBSEの増加と拡散の可能性を有効に最小限にし、また関連した人間の健康リスクから消費者を保護するための国際的に認められた・科学に基づく一連の包括的措置を取っている。罰金刑を科す能力は、一層タイムリーに、有効に、効率的にセーフガード違反に対応する追加的執行手段を検査官に与える」と言う。

 今までは、CFIAが利用できる執行手段は、警告、違反が疑われるか違反と分かった製品の押収、[事業の]認可の停止か取り消し、告発に限定されてきた。金銭罰の利用の執行手段としての利点として、@告発よりも有効で、費用効率的な執行、A罰よりも順守を強調することによる違反行為の非犯罪化、B執行と行為是正の迅速化、C違反の交渉による解決、が上げられている。

 これにより、執行が効率化・迅速化するのは確かであろう。しかし、有効化するかどうかは今後を見守るほかない。仮にそうだとしても、カナダのセーフガード措置には、なお抜け穴がある。とくに飼料j規制に関しては、鶏・豚飼料・ペットフードには牛飼料には禁じられた動物蛋白質の利用が なお許されており、しかもこれらにはSRMの利用も禁じられていない。交叉汚染防止策の強化のためにペットフードを含む動物飼料に牛のSRMを利用することを禁じるという04年12月のCFIAの飼料規制強化案(カナダ、すべての動物飼料・肥料からの牛特定危険部位排除を提案,04,12.13)も未だに実現していない。 カナダのセーフガード・システムには(米国も同様だが)、「執行」以前の問題が残されていることにも注意せねばならない。

 規則の変更は6月29日にCanada Gazette Part II (http://canadagazette.gc.ca)に発表されており、7月9日から実施される。