ウクライナでBSE確認の情報

農業情報研究所(WAPIC)

05.10.21

 ロシアのインターファックス情報サービス(Interfax)が18日、ウクライナのリヴィヴ地域で狂牛病(BSE)のケースが報告されたと報じた。地域の緊急事態省の報道官がインタファックスに語ったという(Mad cow disease case registered in Ukraine,10.18;10:02)。

 16日に死んだ2歳の牛の所有者が地域の獣医試験所に届け出て、狂牛病と診断された。この診断は、後にウクライナの国家獣医試験所で確認されたという。

 これが確かだとすると、ウクライナで初のケースとなる。

 ウクライナは、今までのところ、EUの地理的BSEリスク評価を受けていないし、ウクライナのBSE対策がどうなっているのかまったく分からない。これまでにも何度かBSEや変異型クロイツフェルト・ヤコブ病(vCJD)が発生したという情報が流れたが、いずれも立ち消えになっている。その都度、病牛に接触した人間が感染を疑われて入院するなど、見当違いの対応がされていることから、BSEに関する知識の程度も相当に低いようだ。 

 今回の情報も鵜呑みにしない方がよいかもしれない。英国からの肉骨粉輸入は記録されていないし、EUからの輸入もほとんどなかったようだ。ただし、BSE感染源は肉骨粉とは限らないし、感染ルートは想像もできないほどに広がっているだろうから、否定することもできない。

 最近、スイスの研究チームが、感染させた腎臓に慢性的炎症を持つマウスの尿に異常プリオン蛋白質を発見した(Prions found in urine,news@nature,10.13;http://www.nature.com/news/2005/051010/full/051010-13.html)。2003年に孤発型クロイツフェルト・ヤコブ病(CJD)の人間の筋肉と脾臓に異常プリオン蛋白質を発見し(筋肉にもかすかなヤコブ病リスク、スイス研究チーム)、今年は異常プリオン蛋白質が炎症を起こした膵臓、腎臓、肝臓にも広がる(炎症で特定危険部位以外臓器に異常プリオンが蓄積ーBSE対策見直しを迫る新研究)ことを示したチームだ。このような尿が感染性をもつとは限らないが、持たないとも言えない。そうなれば、どこの何から感染するか分かったものではない。人→動物感染でさえ考えられないわけではない。