米農務長官 来年2月末に米国産牛肉輸入条件緩和に向けた日米協議を開始と表明

農業情報研究所(WAPIC)

06.12.15

  米国のジョハンズ農務長官が、日本の米国産牛肉輸入規制を輸入増加に向けて変更させる交渉を来年2月末に始めると表明した。長官は、日本は米国に対して、米国産牛肉に関する規制を見直す方向で国際基準を見直すことを約束したと語ったという。

 USDA Secretary Sees New Japan Beef Talks In Late February,Cattle Network,12.14
  http://www.cattlenetwork.com/Content.asp?ContentID=91169

 これは、2004年10月23日の日米牛肉協議における「BEVプログラムは、適切な変更のために05年7月に見直される。日米両政府担当官によるこの共同の見直しは、OIEとWHOの専門家による科学的再検討を考慮に入れる。取られるべき行動も含む見直しの結論は、両国政府の一致した判断によりなされる。日本では、これは食品安全委員会の審議を必要とする。OIEとWHOの科学的見直し専門家は、BEVプログラムの実施中に集められる既存の、及び新たな情報を検討し、また適切になされ、米国・日本の牛肉貿易における消費者安全を確保する変更に関して指針を提供するように求められる」という合意を指すのだろう(日米牛肉協議合意、BSEリスク評価を無視、政治が独走,04.10.25)。

 見直しにおいて「考慮に入れる」べきOIEの「科学的?検討」は、30ヵ月齢以下の牛の脱骨骨格筋肉は無条件に(BSEリスクステータスと無関係に)貿易できるというところまで来ている。日本政府がいかに強がっても、見直しは覆すことのできない国家間の合意だ。輸入が許される牛肉が由来する牛の月齢上限を30ヵ月齢に引き上げるべきことを考慮に入れた見直し協議の米国からの要請をむげに蹴飛ばすことは不可能だ。

 長官は、先ずは”技術”ベースの低レベル当局者間での協議を始めるというが、2004年にはこのレベルの協議でこのような取り返しのつかない約束をしている。同じことが繰り返され、食品安全委員会が追認することになるのだろうか。